第二章
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「自殺したの」
「そうなのね」
結局借金を返せなくて部屋で首を吊った、その話を聞いた時私も母も狂いそうになる位泣いた。友達もその話を聞いて目を伏せる。
「それはね」
「だからなのね」
「お父さんのことを覚えているから」
「だからなのね」
「そう思うわ、だからあんたはね」
「人と、特に男の人と別れる時は」
まさに彼と別れる、その時に。
「目を伏せるのね」
「そう思うわ」
「そうなのね、それでつい目を伏せてしまうのね」
「お父さんが別れる時ずっと見てたのよね」
「ええ」
扉を閉めて完全にいなくなるまで、私は瞬き一つしなかった。泣きながらもそれでも最後のその時まで見ていた。
「そうしてたわ」
「二度とそうした光景を見たくないから」
「私は無意識のうちにそうしていたのね」
「そうなのよ」
「わかったわ、どうしてかは」
私はこのことを理解した、このことは確かだ。
けれどだ、私は友達にこうも言った。
「それでもね」
「うん、彼氏の人ともお話したのよね」
「このことはね」
「無意識でしてしまうのよね」
「だからね」
それでだとだ、私は彼女に答えた。
「ちょっと」
「どうしてもなのね」
「人と出会ったら」
「ええ、このことは絶対ね」
「何時か別れがあるわよね」
「何らかの形でね」
「そのことを思うと」
どうしてもだった、父のことだけでなく。
「目を伏せてしまうわ」
「そのことはどうしようもないわね」
「別れは辛いわね」
父のことを思い出してとりわけだった、私の場合は。
「本当に」
「そうね、だからそれはね」
「仕方ないのね」
「無意識のうちにしてしまう位なら」
それこそだとだ、友達は私に言ってくれた。
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