最終話 コネクティング
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「どうして言ってくれなかったの……!!」
目の前にいる自称親友の香織は、瞳から大粒の涙を流しながら私の頬をはたいた。
暫くの間、何故自分がはたかれたのか理解できずに呆然としていると、今度は香織に泣きながら抱き着かれる。じんじんと痛む頬の痛みは何も教えてはくれない。
「馬鹿!この、馬鹿ぁッ!何でよ……何であたしには一言もそんな事言わないで……!!」
「か、香織……?どうしたの?泣いてるよ。悲しい事があったの?」
「全部あんたの所為でしょッ!あんた、天然も大概にしなさいよ……!」
訳が分からないまま更に罵られ、でも身体は抱きしめられている。
少し傷に響いて呻くと、香織ははっとした顔で直ぐに抱きしめるのを止めた。
「ご、ごめん。怪我してるんだよね……でも、これだけは言わせてよ」
気まずそうに顔を下げた香織だったが、まだ涙の残る目を真っ直ぐにこちらに向けた。
「本気で心配したんだからね……!病院に運ばれたって聞いて、本当に!本当にぃ……う、えっぐ……」
涙が目から頬を伝い、床へと落ちていく。
最近、泣き声を聞いてばかりだ――そう思いながらも、私は彼女がどうして泣いているのか漸く理解した。
もっと早く気付けばよかった。
心のどこかで、味方してくれないから友達じゃないって線を引いてたのかもしれない。だから今の今まで彼女に対して私は本気で考えていなかった。
香織は――今も昔も本気で私の友達でいると信じ込んでいたんだ。
いつ裏切るか分からないなんて思っていたけれど、裏切っていたのは私なんだ。だから彼女はいま、本気で怒って、本気で私の事を心配していたんだ。
「………私も、ごめん。これからはもっと沢山お話しよう?わたし、これからはいじめなんかに負けずに学校で過ごすって決めたから……ちゃんと向かい合ってお話したいから」
友達はいないって思っていた。
でも本当は、いの一番に病院まで駆けつけてくれるだけの友達が目の前にいたんじゃないか。
気付かなかった自分が情けない。真っ直ぐ向き合えなかったことが情けない。
「もう逃げたりしないから……私の友達でいてくれる?」
「馬鹿っ!!……当たり前だ!!」
鼻水を啜りながら答える初めての親友に、私は涙混じりの笑顔をみせた。
それから、沢山の人が来た。
事情聴取をする警察の人たち。
先生や他の同級生たちは、お見舞いの品を沢山くれた。
皆どこか腫物を扱うようで、居心地は悪かった。
関谷くんは、今度から僕が守る、と告白染みたことを言われたけど、丁重に断った。これからは自分の意思で拒絶したり、受け入れたりしていきたい。だから一方的に守られるのは嫌だ、と。
とても悲しそうな顔で引き下がった
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