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新説イジメラレっ子論 【短編作品】
第6話 イグノリング
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ていると自らが公言している。だが、痛みに怯えきった手島くんは最早縋るような思いで犯人をばらす。

「や、やったのは浜崎の奴だよ!この前の仕返しをするとかなんとか言って息巻いて、友達連中と一緒に――」
「ふぅん。黙って見てたのか?」
「そ……それを言えば他の連中だってそうだろ!クルミちゃんなんて真横にいたんだぞ!」

 肝が冷える。もうどうでもいいと思っていた筈なのに、自分の名前が挙がったその一瞬、私は自分までもが殴られるのではないかという恐怖に体を縛られる。
 だけど、風原くんはこちらを見もしなかった。

「そんな奴もいたな。忘れてたよ」
「くそっ……!くそっ!何で俺なんだよ!俺が本当に知らなかったらとか考えなかったのか!?」
「お前なら知ってるだろ。それに――」

 言って周囲を見回した彼は、怯える周囲にこう言い放った。

「知らなかったらその辺の奴を捕まえて一人ずつ殴っていけばいい。クラスの外にいる奴も殴っていけば、いずれは犯人に辿り着く」

 彼が去った後には、殴られた個所を抑えて呻く手島くんだけが残された。
 気が付いたら、身を竦ませて震えている私の手はあせでびしょびしょになっていた。


 その後、風原くんは教室を出て、浜崎くん達共々戻ってこなかった。


 放課後――私の方を見ながらも結局声はかけずに帰っていった香織の背中を見送った後、私は散らかったままの風原くんの机を見た。

 あんな風に暴力を振るってすべて解決する人だとは思いもしなかった。
 やられたらやり返さずにはいないだろうと思っていたが、彼はあの後全員に報復をしたんだろうか。いや、そもそもいじめっ子たちに蹴られたときは何ともなかったのに、なんで風原くんの時はあんなに体が震えたのだろう。やられると確定している訳でもないのに――心の底から怖かった。

 父親から感じる怖さとも、怯えていた時に感じた物とも違う。
 その原因は、何なのだろう。彼が強かったからという、それだけなのか?

 そして、もう一つ。

『そんな奴もいたな。忘れてたよ』

 今まではそんなことも言わなかった。なのに、今日は私の存在を意図的に無視するような――そんな苛立ちというか、棘があったような気がする。不可思議だ。私なんかに構わず、それこそどうでもいいと言えばよかったではないか。
 私は――風原くんを怒らせていたのだろうか?
 そう思うと、私の思が揺らぐ。
 彼を怒らせて敵に回してしまうかもしれないと考えると、恐怖とは違う何かがいばらのように胸に食い込んだ。

「くすくす、くすくす。どうしたの?まなちゃんの机をじっと見て」
「……麗衣、ちゃん」

 気が付いたら、麗衣が近くにいた。
 ちゃん付けで呼ぶ義理もないけど、嫌味だと思ってつ
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