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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十九話 運の悪い男
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だと。貴族連合軍が勝つ可能性は低い、自分達に関わるなと。貴族連合軍には改革派の席は無いとも言われた。
そしてこう言われた。〜いずれローエングラム侯から協力の要請が来る。改革の火を消したくないならローエングラム侯に協力した方が良い。貴族連合軍が勝った場合には自分が貴方達の安全を請け負う。そうなれば貴族連合軍、ローエングラム侯、どちらが勝っても改革は続くだろう〜。
その後、直ぐにローエングラム侯から呼び出しが有った。社会経済再建計画を作成せよとの事だった。ヴァレンシュタイン提督の助言に従って計画を作成したが心楽しい作業ではなかった。ヴァレンシュタイン提督と共に夜遅くまで討論した時を思い出す、あの時は本当に楽しかった。私だけじゃない、ブラッケもそしてヴァレンシュタイン提督も本当に楽しそうだった……。
「ヴァレンシュタイン提督は勝てるかな?」
ブラッケが縋るような表情をしている。勝って欲しい、そう思っているのだ。私もそれは同じだ。だが願望に囚われてはならない。
「分からんな、優位では有ると思うが……。一応宇宙船は用意してある。いざとなったら宇宙へ逃げよう」
「宇宙へ? それで何処へ行く」
「何処へも行かない。ローエングラム侯はオーディンの騒乱を放ってはおかないだろう。彼の軍隊が騒乱を鎮圧する筈だ。それまで退避すれば良い」
ブラッケが不得要領気味に頷いた。
帝国暦 488年 9月 30日 ガイエスブルク要塞 ヘルマン・フォン・リューネブルク
「ローエングラム侯は辺境星域の平定を諦めた様だな」
「妥当な判断だ。むしろ遅過ぎたくらいだね」
辺境星域平定の放棄、その結果これまで別働隊が平定した地域もローエングラム侯の支配下から抜け出している。もっとも貴族連合に与するのは僅かだ。大部分は様子を見ている。もう一撃何か起きれば雪崩を打って貴族連合を支持するだろう。
貴族達は喜び勇んで出撃している。赤毛の小僧をやっつけたから今度は金髪の小僧をやっつけようという事らしい。まあ上手く行くとは思えん、ヴァレンシュタインが言った様に物資の消耗くらいにしか役に立たんだろうと俺も見ている。もし何かの間違いで勝つ様なら辺境は動くかもしれない。
「ミッターマイヤー提督が破れた時点で辺境星域の平定を後回しにされたらこっちが負けていた。今頃はガイエスブルク要塞で枕を並べて討ち死にだった」
「そうだな」
ヴァレンシュタインとフェルナー少将の会話に深く頷いた。その通りだ、皆死んでいただろう。
「ローエングラム侯のミスか」
「そうだね、戦力の見積もりを誤ったと思う。或いは過信したかな、自分の能力を」
ヴァレンシュタインは小首を傾げている。
「クロプシュトック侯の反乱鎮圧は酷かったからな、それが頭に有ったのかもし
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