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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十九話 運の悪い男
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ローエングラム侯より依頼を受けて社会経済再建計画を作成した。つまり我々は政府、いやローエングラム侯よりの人間と周囲からは見られている。そしてこのオーディンでは親ローエングラムは少数派だ。その中でも国内改革派はさらに少数派といって良い。貴族達からは非好意的な視線を向けられている。リヒテンラーデ公派、ローエングラム侯派に関わらずだ。
「正直に言うぞ、リヒター。私はローエングラム侯もリヒテンラーデ公も信じてはいない。リヒテンラーデ公は元々改革が必要だとは思っていない。ローエングラム侯は人気取りのために社会経済再建計画を必要とした。彼が辺境でやった事を思えば分かる事だ。あの二人が社会経済再建計画を必要としたのはあくまで内乱を勝ち抜くためだ」
押し殺した、軽蔑したような口調だった。
「分かっているさ、そんな事は」
「なら……」
「落ち着け、ブラッケ、声が大きい。この内乱が何処へ落ち着くのか、まだ分からないんだ。貴族連合軍が予想に反して優勢で有る事は私も認める。だが勝敗が決まったわけでは無い、そうだろう?」
ブラッケが渋々頷いた。
「それにガイエスブルク要塞にどうやって行くつもりだ。下手をすればローエングラム侯の軍隊に問答無用で撃沈されかねん。我々は改革の火を消してはならないんだ。ヴァレンシュタイン提督に言われた事を忘れたのか」
「そんな事は無い」
声が弱い。“少しはフリカッセを味わえ”と言うとバツが悪そうに食べだした。
ブラッケはヴァレンシュタイン提督の所に行きたがっている。ブラッケにとって本心から自分達改革派の理解者だと思えるのは彼だけなのだ。ブラウンシュバイク公爵家の領地を開明的な統治に変えたのは彼だった。もちろん、それには我々も深く関わっている。
改革案を彼に求められた。その改革案を彼が手直ししてブラウンシュバイク公に提出した。我々が作成した物に比べれば改革の度合いはかなり低い。しかし百の成果を求めて拒絶されるよりも確実に得られる五十の成果を目指すべきだと言われた。五十の成果が出れば残り五十の成果を得るために説得する事は難しくは無いと。
力が有るなら押し付けられるが力が無ければ受け入れ易いように変えなければならない。ブラウンシュバイク公爵領の内政は段階的に改革された。税制、司法、福祉、医療、農業、商業……。領民達の権利が拡大し手厚く保護された。それに伴ってブラウンシュバイク公爵領の生産量が上がりそれを認めたブラウンシュバイク公が改革を推し進める事に同意した。
嬉しかった。改革が実施され成果が出るのを見るのは嬉しかった。このまま行けば……、何度もそう思った。だが内乱が起こった。内乱が起こる前、何か力になりたいと言うとヴァレンシュタイン提督は無用だと断った。貴方達の仕事は戦う事では無くこの帝国を改革する事
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