第十四章 水都市の聖女
第六話 俺の名は―――
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「まだ分からんのか? 存外と頭が回らぬ奴よな。お主、先程検討が着いていると言っておったが、それが何なのか言うてみい」
「……貴様たちの狙いはこの世界を終わらせること。その方法は―――この星の霊的な柱である霊地を破壊することだ」
ソウダ―――セカイヲスクウタメニ―――コノセカイヲホロボス―――
―――コレマデトナニモカワラナイ
「然り。儂らがいた世界から流れ込む魔力によって、この世界の霊脈に流れる魔力は増大する一方。今や増水し氾濫する寸前の大河の如く。その上に存在するのがこの世界よ。ならば世界を支える柱である霊地を破壊すれば、濁流に飲み込まれこの世界は終焉を迎える」
「なら―――」
「人は死ねば世界に還元される。ならば力あるものが死ねばそれだけ世界の“魔力”は増え。結果、世界の滅びが近づくという理由よ。今この時も儂らの世界は衰弱する一方。ならば、一秒でも早くこの世界を終わらせなければならん」
―――ソンナコトハイワレズトモシッテイル―――
「だからと言って―――それが子供を殺す理由になるかッ!!」
「先にも言ったであろうが―――この世界を終わらせるのだ。遅かれ早かれ死ぬ運命にある。今更童の十や二十の命に騒ぐ程のものか」
「―――ッ」
―――十を生かすため一を殺し―――百を救うため十を見捨てる―――
イママデジブンガシテキタコトトイッタイナニガチガウ?
ナニモチガワナイ
ワカッテイナガラ―――ナゼオレハアラガッテイル
「それを止めたいと言うのであれば言葉でなく力をみせよ。貴様の背にある者悉く鏖殺されたくなければ―――儂を殺してみよッ!!」
「チッ、ぃ―――っ!?」
李書文が話は終わりだとばかりに槍を構え穂先を向ける。低く構えた姿は、まるで今にも飛びかからんとする虎の如く。未だダメージが回復していない士郎に、これ以上の戦闘は不可能であり、次の攻撃は確実に避けられない。
だが、それが分かっていながら―――士郎には欠片も逃げようという考えは浮かばない。
内蔵が煮込み過ぎたスープになっているのではと、そんな馬鹿な考えが浮かんでしまうほどの痛みと熱が腹を巡るのを感じながら、士郎は震える拳を構えた。
李書文の槍を握る手に力が込もり―――気配に鬼気が混じった、その時―――
「―――ええ、なら、喜んで殺させてもらうわ」
鉄血に霞む中を―――涼やかな清廉な声が切り裂いた。
「―――っ!!?」
「―――ぬっ―――オ?!」
李書文を囲むようにして大地がランスの如く鋭く尖り飛び出した。四方八方大地から一斉に突き出される岩石からなるランスは獲物を貫かんと進み―――長槍が円を描くように振るわれ
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