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剣の丘に花は咲く 
第十四章 水都市の聖女
第六話 俺の名は―――
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に顔色を悪くしながら話を続けていた。

「元々これは“悪魔”たちに有効な、ぼくの魔法の最後の手段として考えていたんだけど…………命を削って得た力は、使い魔自身にではなく主であるぼくに力が流れ込むようになっていたんだ。だけど、今はそれをぼく()にではなく“ルーン”を刻まれた本人に流れ込むよう変えてる」
「……分かった」

 これ以上話しをしている時間はないと感じたシロウは、ポツリと声を上げ説明会を終了させようとするが、声が聞こえなかったのかブリミルの説明は続いていた。

「い、いや。やっぱり無理だよね。だから早く逃げて。あなただって命が―――え?」

 シロウの返事に気付いたブリミルが、聞こえてきた答えが余りにも予想外だったためか、目を見開きながらも聞き返す。
 そんな様子に頓着することなく、シロウは話しを進めさせる。

「早くやってくれ」
「―――えっと、何を?」

 未だ我を取り戻していない様子に、シロウが激昂しかけたが、直ぐに頭を振って精神を僅かに落ち着かせた。

「自分が言ったんだろうが。早くしろ。サーシャももう限界が近い」
「……ほ、本当にいいのかい?」
「諄いぞ」
「っ、どうして、そこまで…………―――わかった」

 逡巡するブリミルだったが、迷っている時間が惜しいと気を切り替えたのか、数度深く呼吸を繰り返すとシロウの目を見るとゆっくり大きく頷いて見せた。

「頼む―――すまない」
「っ―――じゃあ、やるよ」










 ―――何か、おかしい



『―――我が名は“ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ”』



 何故、俺はこんな事をしている


   ―――違和感を感じる

         

『―――五つの力を司るペンタゴン』



 この世界に喚ばれたのは、こんな事をするためではない
 

            ―――これは、誰だ(・・)


 あの男が言った言葉は決して間違いではない


 この世界が滅びなければ、あちらの世界が滅びる
 


『―――この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』



 ならば―――


 ―――何故、抗おうとする


 ―――何故、従わない
 

 何故、邪魔をする


 何故―――どうして



          これは(・・・)―――誰だ?




 ……そんな事は分かりきっている、か――――――




     ―――()は―――誰だ?





 ―――答えは得た


 ―――大丈夫だよ遠坂


 ―――俺も、これから頑張っていくから
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