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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十四話 イミテーション・スピリット
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の他者に触れた。私のために流されたイバルの血。私のためにイバルが負った傷。全てが生々しく伝わってきた。
「俺は、ミラ様の巫子です。貴女だけが、俺のマクスウェルです」
――私は、逃げた。逃げ出したんだ。生まれて初めて取った選択肢だった。
社へ駆け込んで、社の奥からニ・アケリア霊山へ。四大の力を使わず、自分の足で走って。
山頂の中腹に来たくらいだろうか。足を止めて。自嘲が止まらなかった。
「何をしてるんだろうな、私――」
泣きたいのか笑いたいのか分からなくなった。そもそも泣くだの笑うだの、そういえば一度もしたことがないとこの時、気づいた。
そこで苦しげに呻く女の声が聴こえたから、とっさに身構えた。
苦悶の主はやはりミュゼで、私を怨敵のように睨みつけてきた。
「マクスウェル様のもとへは行かせない……それが、それだけが、今の私の全て!」
ミュゼは闇色の球をいくつも私へ放ったが、一球たりとも私には着弾しなかった。狙いが定まっていなかった。
「そうか。お前もなんだな。ミュゼ」
ノームの力で土を抉れさせ、ミュゼの両手両足を拘束した。こうでもしないと、この精霊は私の話に聞く耳など持たない。
「ミュゼ。私はこれから、私たちを生み出したマクスウェルのもとへ行くよ。この世界の有り様が、ミュゼにも私にももう少しだけ優しくなるように。その道を拓きに」
「そんなことに意味なんてない! 私たちは捨てられたのよ!? ああ、マクスウェル様、マクスウェル様! どうして応えてくださらないの! 私、こんなに苦しいのに……!」
アルクノアに私たちと似た生まれの少女がいた。臙脂色の少女兵だ。
彼女は省みられないと理解した上で、父親に刷り込まれた使命を完遂した。その上で彼女は一片の嘘も虚勢もなく言ったのだ。
「これは私が」
目的は果たして意味はなくなった命でも、生きていける――と。
「偽物として生まれたことへの叛逆だから」
人間にできるなら、精霊にもできることでないと不公平だろう?
「貴女はまさか、全部承知の上で……!?」
「ミュゼ」
手を差し出すと同時に、ミュゼの拘束も壊した。
私の姉だという女。私と同じ、盲目に守るためだけに生まれた。
「意味を失くしても生きていくことはできるよ。お前には私がいる。お前が失くした意味を、これからは私が埋めよう。だからもう――大丈夫」
「っ――ミラ…」
私の手に縋ったミュゼの前に膝を突いた。
私たちは抱き合った。この世でたった二人きりの姉妹として。
「ミュゼ。世界を救おう。私たちにしかできないやり方で」
…
……
…………
ミュゼがじっと私を見てい
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