第12話 Tempest Turn 3
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夜中の部屋。イングリットは自室において、下着のみという少々大胆な恰好で外を見ていた。
その顔には、恥じらいなど無く堂々としている。そもそも、この部屋は彼女の自室なので当たり前なのだが……
「秩序を忘れるな……だろう。マリン」
ポツリと、誰に言うわけでもなく呟く。
それは、過去に死んだ友の言葉。
だからこそ、秩序を乱す者を許さない。
「この学園には…上下関係が軍の階級と同じ役割を担っている。」
イングリットは、突然自分の考えを語り始める。今度は、一人語りと言うわけではなく、誰かに聞かせるような口調だ。
「その規律が、この学園に秩序をもたらしている。これは、どの場所でも言える真理だ。」
それは、彼女のもつ信念にも似た何か。譲ることは決してない、一つの芯。
「お前はどう思う、サテライザー・エル・ブリジット。」
振り返り、疑問を投げかける。
誰に?
決まっているだろう。
自分の敵。
叩き潰すべき相手。
サテライザー・エル・ブリジットだ。
彼女は、イングリットからの問いに、表情一つ動かさず、淡々と答えた。
「パンドラ同士の対決で、リミッターがいない時に敵を叩く。」
その手にノヴァブラッドを握りながら。
「それが私の考えだ。」
そして、爆発音が鳴り響いた。
ドゴォン!と、破砕音と共に、土煙が舞う。それは、イングリットの部屋の壁が破壊されたことによって起きた物だ。
土煙が晴れると、そこには一つの影が浮かび上がる。
赤く輝くストレートロングヘア。
「舐められたものだな。」
その手には、荒々しいブロンドの髪をなびかせたロングスカートの女性が頭を掴まれていた。
「リミッターと共に貴様を粛清する。」
赤く輝く彼女は、もちろんイングリット・バーンシュタイン。
そして、頭を掴まれているブロンドの彼女は……
「それは、リミッターがいなければ勝てないと言う意味ではない。」
サテライザー・エル・ブリジットだった。
「が……ああ……」
「どうした?私は1日の猶予を与えてやった。」
イングリットの手に込める力が強くなる。メシメシと音が鳴り、彼女の頭から血が流れる。
ーこいつ??
歯を食いしばり、イングリットの手を蹴り上げる。
それは効果を成し、なんとか拘束からのがれ、距離を取る。だが、それは逃げの姿勢ではなく、形成を立て直す為の構えだ。
ノヴァブラッドを、地面と平行に構え、一気に走り出す。
刃はまっすぐにイングリットを捉えるが、それが彼女の体を切り裂くことはなかった。
外したわけではない。
止められたのだ。
右腕にある、彼女のディバイン・トラスト一本で。
「なっ??」
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