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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―消失―
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助けに行く者もまた、決闘者狩りの被害者へと変わるだけだった。捕まった決闘者はどこかに幽閉され、自分たちがどうなるか予想もつかずに、ただ怯えるのみ……

 ……そして、覇王軍が決闘者を捕らえていた目的だった《邪神教典》が遂に完成し、それによって得られた《超融合》と《邪神教典》そのものは覇王の手に献上された。よって、もはや決闘者を捕らえる必要も、捕らえた決闘者を放置しておく意味もない。

 そして覇王軍の幹部である《熟練の黒魔術師》と《熟練の白魔導師》は、覇王から決闘者の処分を言い渡され、決闘者を捕らえた牢獄へと訪れていた。いかに決闘者と言えども、デッキが全て没収されている以上、二人の敵ではなく、せいぜい『狩り』を楽しませる獲物でしかない。

 そしてせいぜい狩りを楽しむべく、見張りをしている下級モンスターに決闘者の牢獄に案内された二人の魔法使いが見たのは、悠々自適にデッキを弄る1人の人間の姿だけだった。

「なっ……!?」

「ん? ああ、ようやく来たのか。随分遅い到着じゃないか」

 そう言いながら、白いスーツに全身を包んだ男はデッキを弄るのを止め、牢獄の扉を自分の家のように簡単に開けると、二人の魔法使いの前に立つ。そもそも、しっかりと鍵を掛けていた筈の牢獄の扉には、何ら拘束もされていなかったが。

「おい、どういうこと……だ……!?」

 熟練の白魔導師は慌てながら、後ろにいる見張りの下級モンスターにこの事態を聞く。しかし振り向いたそこには、先程までいた筈の下級モンスターはおらず、代わりに青色の服を着た仏頂面の男が立っていた。

「覇王軍の幹部だな……話を聞かせてもらおうか」

 混乱している幹部の魔法使いたちを尻目に、二人の人間はそれぞれデュエルディスクをセットしていた。魔法使いを逃がさないように、二人は挟み撃ちのような陣形を取った。

 エド・フェニックスにカイザー亮。彼らもまた、友人を救うために異世界に訪れていた。

「どうした? 覇王軍の幹部とやらは、挑まれたデュエルも受けられないのか?」

「人間風情が……! 後悔するなよ!」

 エドの挑発に、魔法使いたちも混乱を抑え、覇王軍のデュエルディスクを展開する。勝負は二対二のタッグデュエルの設定とし、魔法使いたちはそれぞれエドと亮の方を向き、デュエルの準備が完了する。

「タッグデュエルか。大丈夫か? カイザー」

「問題はない」

 覇王軍の幹部である《熟練の黒魔術師》と《熟練の白魔導師》は、タッグデュエルを得意とする決闘者であり、二体で数多くの決闘者を捕らえてきた。そんな彼らの領分であるにもかかわらず、人間が余裕の表情を崩さないことにほくそ笑みつつ、四人は一斉にデュエルの開始を宣言する。

『デュエル!』

エド&亮LP8
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