第二章
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「奇麗だしな」
「海だけじゃなくて空もな」
「こんなに青いなんてな」
「滅多に見られないからな」
だからだというのだ。
「楽しませてもらってるぜ」
「それは何よりだな」
「じゃあ海から出たらな」
海と空、それに水着を見つつの言葉だ。
「そーきそば食うか、あと沖縄のアイスな」
「紅芋のか?」
「それとマンゴーのな」
どちらもというのだ。
「食おうな」
「ああ、ミックスでか」
「それ食うよ」
そーきそばと共にというのだ。
「そうするな」
「それはいいな、ただな」
ここでだ、大助は光にこんなことも言った。
「もうすぐな」
「もうすぐ?」
「バレンタインだな」
二月十四日だというのだ。
「この旅行中にな」
「そういえばそうか」
「御前どれだけ貰えそうなんだ?」
光は大助に今度はバレンタインのことを尋ねた。
「チョコレートな」
「さてな」
光は首を傾げさせて答えた。
「貰えたらいいな」
「義理は貰えるだろ」
大助は光にそれは、と返した。
「幾ら何でも」
「修学旅行中だからわからないぜ」
「皆そっちに頭が一杯だからよ」
「見ろよ、どの娘も」
その海や砂浜で競泳水着姿で遊ぶ同じ学校の女の子達を目で指し示しての言葉だ。
「バレンタインって雰囲気か?」
「そうは見えないな」
大助もこう答える。
「どう見ても」
「そうだろ、だからな」
「今年のバレンタインはか」
「期待出来ないかもな」
「そういうものか」
「それに暑いぜ」
光は気候のことにも言及した。
「バレンタインってやっぱりな」
「寒い時だよな」
「こんな暑くてバレンタインか?チョコレート溶けるかも知れないだろ」
そこまで暑くはないがだ、光はあえてこう言った。もっとも彼にとっては今の沖縄も充分暑いのであるが。
「そうだろ」
「じゃあ期待薄か」
「それは覚悟しておこうな」
「チョコレートはなしか、今年は」
「義理でもな」
本命はおろか、というのだ。
「それよりもこっち楽しもうな」
「修学旅行をか」
「暑くてもな」
とにかくこのことは嫌な光だった、だがそれでもだった。
ここでだ、また言うのだった。
「楽しめるからな」
「だからか」
「そっち楽しもうな」
「修学旅行に専念するか」
「貰えたらめっけものだろ」
こうさえ言う光だった、彼はバレンタインのことは諦めていた。修学旅行でしかも寒くない時だからだ。それでなのだった。
彼は遊びに専念していた、そして。
そーきそばも紅芋とマンゴーのソフトも食べた。その他にも沖縄料理を心から楽しみホテルで風呂にも入ってだった。
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