第一章
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琉装
沖縄は暑い、とにかく暑い。
その暑さにだ、修学旅行でこの地に来た新条光は憮然として友人の七里大助にバスの中でこう言ったのだった。
「北海道がよかったな」
「夏のか」
「ああ、沖縄は冬だろ」
つまり涼しい時にというのだ。
「来るべきだろ」
「今実際冬だぜ」
二月である、しかももうすぐバレンタインデーだ。
「この時期の修学旅行は普通だろ」
「まあそうだな」
「けれどそれでもか」
大助は首を傾げさせつつ光に返した。童顔で光の目鼻立ちがはっきりしている少し太めのその顔を見つつである。
「御前にとってはか」
「暑いな」
やはりこう言う光だった。
「俺寒い方が得意なんだよ」
「だから北海道か」
「極論すれば冬でもいいさ」
冬の北海道でもだというのだ。
「俺はな」
「本当に暑いの苦手なんだな」
「大の苦手だよ、こんな暑いのないだろ」
「じゃあこの修学旅行は」
「食うのと観光はいいけれどな」
沖縄料理や見学という名のそれはというのだ。
「暑いのは勘弁だよ」
「そうか」
「冬でもな。沖縄は暑いな」
「やれやれか」
「本当にやれやれだよ」
光は大助に憮然として言うのだった、それでバスから降りて沖縄の空気に直接触れるとバスの中にいた時よりもだった。
嫌そうな顔でだ、こう言った。
「やっぱり暑いな」
「これでも冬だからましなんだぜ」
「冬でも暑いものは暑いんだよ」
こう大助に言うのだった。
「団扇欲しいな」
「それ買うんだな」
「後でな、まあ沖縄料理食うか」
「宿泊先のホテル朝はビュッフェだぜ」
バイキング形式だというのだ。
「沖縄料理のな」
「それはいいな、じゃあミミガーとか足てびちとか食うか」
「そーきそばもだよな」
「そーきそばは外せないな」
沖縄料理を食べるならとだ、光はその目を輝かせて大助に答えた。
「絶対にな」
「そっちは楽しむか」
「史跡研修もな、まあ暑いけれどな」
それでもと言ってだ、そしてだった。
光は修学旅行で暑さには辟易しつつも沖縄料理を楽しみ首里城等も見た。海で泳ぎもしたがこの時は女の子達の水着を見てだ。
沖縄の青い海で泳ぎつつだ、共にいる大助にこっそり言った。
「いいな」
「水着はか」
「皆こうして見たらな」
男女共に学校指定の水着だ、女の子は黒地の競泳水着だ。露出は少ない。しかしその露出の少ない水着姿を見て言うのだった。
「スタイルいいな」
「確かにな、どの娘もな」
「目の保養はしてるな」
それはというのだ。
「いい感じでな」
「海はいいんだな」
「水着があるからな、それにな」
「それに?」
「いい海だな」
沖縄の海にいての言葉だ
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