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同日 空座ふれあい公園 午後七時十三分
公園の脇の道を、灰色の学生服を着た少年が歩いている。日は沈んだが、その名残で地平付近の空がまだぼんやりと赤い。
少年は、しかめっ面で歩いていた。その先には、スケートボードで遊んでいるガラの悪い若者の集団がいる。少年はそのままスタスタと彼らに近づき、その一人に迷わず蹴りを入れた。ニットキャップをかぶった男が、強烈な蹴りにうめいて路上に倒れ込む。
蹴られた男の仲間たちは、突然のことに言葉を失った。蹴った少年は、先ほどと変わらぬ不機嫌な表情で彼らを見渡し、言う。
「お前ら、ココどけ」
その言葉で、男たちはようやく状況を把握した。
「なんだァ??イキナリ出てきて山ちゃん蹴倒しといて、その上にここをどけだァ??」
「何考えてんだてめぇ?死ぬか?あァ??」
少年は右手で頭を掻いて、面倒くさそうにため息をついた。
【双龍 蓮(そうりゅう れん)/十五歳】
【髪の色/シルバー】
【瞳の色/レッド】
【職業/高校生】
これが彼のプロフィールである。髪と瞳の色は生まれつきで、手を加えてるわけではない。
蓮は、向かってきた鼻ピアスの男の顔面を蹴り、地に伏したその頭を踏みつけた。
「てめぇら全員、アレ見ろ??」
ビシッと蓮が指差した先には、白い花が生けられた水色のガラス瓶があった。倒れて割れてしまった瓶からは水がこぼれ、数枚の花びらがその水面を寂しげに漂っている。
「問一??アレは一体なんでしょうか??」
連の声に、男たちはびくつく。
「ハイ!ソコの一番臭そうなお前??」
顎ひげを生やした男を指差しながら、スタスタと近づく。
「え?お……俺?あの……こないだここで死んだガキへのお供え……」
「大正解??」
男が言い終わらないうちに、蓮はその顔面を蹴り飛ばした。仰向けにのびた男に、残りの二人が駆け寄る。彼らが名前を呼んでも、男は白目を剥いたまま起き上がらなかった。
「問二?? じゃあ、どうしてあの花瓶は……倒れてるんでしょうか?」
「そ…それは……」
「俺らがスケボーしてて倒しちゃった…から……?」
蓮を見たふたりのかおから、血の気が引いていく。
いや、正確には、蓮の背後に浮かぶものを、見たのだ。
「それじゃ、こいつにあやまんなきゃなァ?
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