1部分:第一章
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」
男を閣下と呼んだ。どうやら彼が大使らしい。その大使に対して言うのだった。
「今より作戦に移ります」
「わかった」
大使は止むを得ないといった顔で彼女の言葉に応えた。そうして彼女の返礼に返す。だがその顔は浮かないものであり続けた。
大使館を出て作戦に向かう彼女を見送ってから彼は自室に戻った。だがそこに既にいた自分の秘書に対して言うのであった。
「あれでいいのか」
「いいといいますと」
「ラムカ中尉のことだ」
彼女のことであるというのである。
「あれでいいのだろうか」
「作戦ですし我が国の為ですし」
秘書官は何でもないといった口調であった。
「仕方ないのでは」
「本当にそう思うのか?」
だが大使はいぶかしむ、しかも真顔でその秘書官に問うのだった。
「君は。本当に」
「ですから任務ですから。彼女の」
「ではこれからの発言は私は聞かない」
ところが大使はそれでもこう言ってきたのだった。
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