第三十六話 パーソナルリアリティ探しとレベルアッパー探し
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さっきの例え話に引っかけて同じ型番を持つ車と飛行機の話を出してみたが、佐天さんにはチャージマツダ787Bが分からなかったようだ。
「昔、ル・マン24時間レースで優勝した日本の車」
「そんなマニアックな……」
そう言えばこの世界でもちゃんと優勝しているのだろうか……というか、それ以前にル・マン24時間レースを走っているのだろうか。それ以前に、そもそもル・マン24時間レースがなかったりして……。
学校を出て佐天さんと一緒に薬局へ向かっていると、俺のケータイに電話が掛かってきた。
「はい、もしもし」
『神代さん! 神代さん! レベルアッパーについて詳しく知りたいんだけど、今から話できない?』
いつものごとく名前を確認せずに出たのだが、掛けてきたのは御坂さんだった。
「今から!? これから初春さんの所へ薬持って行かないといけないんだけど……」
別に俺がついて行かなくても薬ぐらいなら佐天さんだけで届けられるわけだが、いきなりの呼び出しで思わずそう答えてしまったのである。
『初春さんの所へ行くんだって……うん……。それなら丁度良いわ、私たちも初春さんの所へ行くからそこで話を聞かせて!』
「はーい」
御坂さんのそばには白井さんが居るのだろう、少し相談するような声が聞こえた。その後で、御坂さん達も初春さんの所へ行くと言う返事を聞いて了承する。初春さんには何も相談していないが、御坂さんが来るのだから文句を言われるようなことにはならないだろうし、それに白井さんも初春さんが風邪を曳いていることは知っているはずだから大丈夫だろう。
「今の……御坂さんから?」
「うん、まー白井さんもすぐそばに居たみたいだけど」
ケータイから漏れる音で相手が誰だか分かったのだろう、佐天さんから聞かれて俺は答えた。
「それで、初春の所に来るって?」
「そうみたい。そこでレベルアッパーについて聞きたいんだって」
多分会話の内容もだいたい聞こえていたのだろうと思い、佐天さんには隠すような内容でも無かったので答える。当然、「レベルアッパー」の部分で声量を落とすことは忘れない。
「そうなんだ」
「御坂さん達は急いでたみたいだから、ウチらもちょっと急ぎますか」
佐天さんの返事からネガティブ思考に回りそうな予感がしたので、気持ちの切り替えが出来るように話題を転換する。
「うん、そうだねー。初春のやつ、御坂さんが来てテンション上がって熱まで上がってなきゃ良いけど……」
話題の転換によってなのか、それとも元々ネガティブ思考には向かってなかったのか、佐天さんはいつもの明るさを取り戻して初春さんの心配をしはじめた。
「あー……それはもの凄くありそ
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