第三十六話 パーソナルリアリティ探しとレベルアッパー探し
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ろうけどさぁ」
佐天さんの愚痴のせいでそこそこ時間を消費しているものの、ノートを書き写すだけなのでそれほど長くは掛からないはずだ。
「能力が使えるようになるかどうかは分からないけど、例え話をしてみようか。聞いてみる?」
「うん、聞いてみたい。神代さんはどうやって能力を使ってるの?」
佐天さんの話では、薬局で薬を調合してもらって受け取れる時間まではまだあると言うことなので、少し話を振ってみるとすぐに食いついてきた。
「それについては感覚で使ってるとしか言いようが無いんだけど、例えば、佐天さんの両手にそれぞれ指が6本有ったら6本目の指ってどう動かす?」
「え!? どうって言われても……」
自分でも分かってて言っているわけだが、かなり突拍子も無い例え話に佐天さんが言葉を詰まらせる。
「ウチは能力も同じだと思うんだよねー。指だったら自分で指に力を入れながら指が動いてるかどうかを目で確認できるわけだけど、能力の場合はそうは行かないでしょ。だから使える人はいきなりでも使えるし、御坂さんみたいにレベルを上げていける人も居るし、なかなか能力が発現しない人も居るんじゃ無いかと思ってるの」
さすがに6本指というのは変かもしれないが、実際に5本の指でさえ器用に動かせる人とそうで無い人の差は激しいのである。脳トレだったか何かで他の指を会わせたまま中指や薬指を回す運動があったと思うけど、それが全然出来ない人を知っているのだ。
「うーん、何となく分かるような分からないような……だったら、神代さんはどうやって能力使ってるの?」
やはりというか当然というか、そんな例え話では理解できるわけも無く全く同じ事をもう一度聞かれる。
「さっきも言ったけど、感覚よ。それならまた別の例え話をしてみるけど、ウチの能力が自動車だとするわね。ウチは自動車の運転技術レベルが4なわけだけど、佐天さんの能力が飛行機だったとしたら、ウチの車の運転技術をいくら教えたところで佐天さんの操縦技術レベルは上がらないのよ」
自分で言い出しておきながら全然説明できずに例え話ばかりになっているのは心苦しいのだが、いきなり能力が使えてしまった身としては説明のしようが無いのである。
「神代さんの話を聞いてると何となく感覚的なことなんだろうなーって言うのは確かに分かるんだけど、それじゃー私のレベルは上がらないのよぉ……」
ノートの書き写しは全部終わったようで、佐天さんはそう言って机に突っ伏した。俺は自分のノートを回収しながら更に続ける。
「そりゃそうよ。ウチがチャージマツダ787Bの運転方法を教えたところで、佐天さんのボーイング787は動かせないんだから」
「ボーイングの方は分かったけど……チャージマツダって何?」
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