コヨミフェイル
014
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んが継続して手伝ってくれるようで安心した。作戦を立てたとは言え、何が起こるかわからない。作戦だって予定通り進行するのかさえわからないのだ。式神とは言えども怪異のエキスパートである斧乃木ちゃんにいてもらえば、少しは気が楽になる。
「おや?阿良々木先輩じゃないですか。こんな偶然ってあるものなんですね〜」
自転車を出したところで、見計らったように声を掛けられた。マウンテンバイクに跨がっている扇ちゃんだった。サイクリングの途中のようだ。
高校生とは言っても日も沈みかけているこんな時間に麗しき乙女が一人でサイクリングしているというのはいささか無用心ではないだろうか。
「こんな時間に何をしてるんだ」
「見てわからないですかね」
「わかっている上で聞いているんだ。一人でサイクリングなんて危ないだろ?」
「サイクリングは概して一人でするものですけど?」
「時間帯のことも含めて言ってるんだ」
わかっていて言うのだから性質が悪い。ていうか、性格が悪い。
「いや〜。しかし、阿良々木先輩。夜風に吹かれながらのサイクリングは昼間のサイクリングとは一味違う心地良さがあるんですよ?」
「まあな」
それは知っている。一時はマウンテンバイクでサイクリングをしていたのだ。夜のサイクリングもまた日中のサイクリングにも負けないものはある。スピードを上げるほどに身体に沿って流れていく適度に涼しい風が火照った体を冷ましていく。まるで食物連鎖のような、永久機関のような完璧な循環である。そのせいでどこまでも行けるような錯覚を起こしてしまうのだが。気分転換とか時間潰しに持ってこいだった。
「それはそれとして、阿良々木先輩こそこんな時間にどこにお出かけですか?勉強はしなくてよろしいのですかね?」
「明日にでも今日の埋め合わせをするさ。それよりも今立て込んでてな、すまないが、お前と話している時間が惜しい。また今度埋め合わせをするよ。じゃあな。早く家に帰れよ」
と、言い残してそそくさと自転車に跨がってペダルに足を掛けて漕いだ――僕の横を扇ちゃんがピッタリと並走する。
「勘違いしないでくださいよ、阿良々木先輩。気持ち悪いです。私の家がこの方向にあるというだけですよ」
「いや、まだ何も言ってないし、そこまで言われる覚えもないぞ?」
これもツンデレというものなのか?いや、扇ちゃんに限ってそれはないか。
「それにしても冷たいですね、阿良々木先輩。今宵の夜風以上に冷たいですね。それほど立て込んでるんですか?それとも私が嫌いになりましたか?」
「いや、嫌いじゃないが、立て込んでることは本当なんだ」
「阿良々木先輩が立て込んでるということはまたどこかでか弱い少女が怪異の悪の手に脅かされているのでしょうか?そして、それを助けてハーレムの繁栄を計っ
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