R.O.M -数字喰い虫- 3/4
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んです」
「なるほど、書き換えたのか」
春歌は無言で懐から焦げた日記を取出し、その最後のページを見せた。
……ノートと見比べると、確かにほんの一部の数字が僅かながら変わっていた。
林太が顔をあげると、春歌は顔色を悪くしながら、やっぱり、と呟いた。
「稜尋さんは……やっぱり、平気なんですね。あのノートを持っている時点でそうかもしれないって思ってたけど。芋虫も見えていないし、記憶も消えていない」
「ン……あ、俺が影響を受けるかどうか試したね?意外と手癖悪いなぁ君も」
「ひぇ……ごめんなさい!ご、誤魔化そうとしたわけじゃ……!」
口元を抑えて後ずさる春歌の態度は、完全に脅された人間のそれだ。それ程怖がらなくともいいだろうに、と少し傷ついたが、同時にもしかしたら、とその態度の正体に思い至る。
彼女もまた、俺がヨクジンであることを疑っているのではないだろうか。もしくはヨクジンを追う得体の知れない何かだと考え、恐怖しているのだ。何せ普通の人間ならこれを見れば一発で術中に嵌まるようだから、それを見て尚平然としている林太の態度を見てそう勘違いするのも無理らしからぬことだ。
そう言えば、自分は何故平気なのだろうか。
そもそもこのノートは今日、メリーに回収させたものだ。ペラペラと調べた様な事を言ってみたが、あの情報もメリーが読み取ったものを述べただけに過ぎない。ならば本当にあの図形を見る事で記憶を消され、或いは『数字喰い虫』に囚われていたのかもしれない。
何故、その事に思い至って危機を抱かなかったのだろうか。
まあいい、そのことには『今はあまり興味がない』。
「ああ、別に取って食おうって訳じゃないんだから。それに俺の所にはメリーがいる。仮に今から逃げたって、メリーさんはもう君を補足しているから、『貴方の後ろにいるの』で一発だよ」
「メリー……お人形さんみたいな……後ろ……もしかして、都市伝説の!?」
「そゆコト。さ、正直に答えてほしんだが、何でそんなことをしたんだい」
「あり得ない……あり得ないよ、こんなの」
都市伝説と共に行動し、人間ならば正気を失うはずのものを平然と見つめ、なお不敵な笑みを浮かべる存在。それは確かに彼女にとっては余りにも得体の知れない、非現実的存在なのかもしれない。
「だけど、今更君がそれを言うかい?人の心を弄ぶ悪魔の数式なんて、物語の世界だろう?現実だって十分ファンタジーなのさ、この世界は」
「……そんなの、頭では分かってますよ。頭以外が付いていけないから、信じられなかったんです……でも、もう信じるしかないんですね」
「ああ、もう君も俺も引き返せない世界に足を突っ込んでしまった」
それっきり彼女は黙り込んでしまった。
ならば、こちらから聞きだそう
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