暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第69話 刀は使う者次第で千変万化
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のとほぼ同時にまた子の銃口が、そして武市の刀がそれぞれ岡田に向けられる。

「いけませんねぇ、彼女は我々にとっても大事な客人。その客人を手に掛けるなど今この場で切り殺されても文句は言えませんよぉ?」
「人斬り似蔵の名も地に落ちたっすね。まさかあんな年端もいかないガキを手に掛けるなんざぁ、人のする事じゃないっすね」
「悪かったって言ってるじゃないかぁ? この通り勘弁してくれないかねぇ。叔父さん今にも震えてしょんべんちびりそうなんだけどねぇ」
「散々人を殺してきた人殺しが何言うっすか?」

 相変わらず何処か人を食ったような言動をする似蔵にまた子は苛立ちを覚えていた。だが、此処で血気に走って銃弾を放つ訳にはいかない。無用な争いをこの中に持ち込む訳にはいかないからだ。

「とにかく、この髪は私が晋介様にお届けしておきます。岡田すわん。後で晋介様直々に沙汰があるでしょうが、くれぐれも身勝手な行為は自重してくださいね。でないと……我々は貴方を斬らねばなりません」
「俺を斬る? あんた等がぁ? そいつぁ何の冗談だい? 笑えてくるよ」
「あんた……偉く余裕ぶってるようっすけど、まさか自分が強くなったと思ってるんじゃないっすか?」

 銃口を向けたまま、また子は鼻で笑った。この男は勘違いをしている。それも大きな勘違いをだ。
 先の桂に引き続き銀時を手玉にとれたのは自分の実力によるものだと思い込んでいるようだが、それは飛んだお門違いだからだ。

「あんたが桂や坂田を倒せたのはあんたの実力じゃない。あんたが使ってるその紅桜のお陰っすよ」
「紅桜ねぇ、確かにこいつぁ良い代物だ。俺も過去にこんな上等な得物を振るった覚えはないねぇ」
「それはどうも。作ったこっちとしてもそう言う感想が聞けただけでも嬉しい限りですよ。何故なら、その紅桜こそ、過去に攘夷戦争を戦った史上最強の侍、今は亡き『紅夜叉』が用いていた桜月をベースにして作られたのですからねぇ」
「言うなれば、あんたが勝てたのはその紅夜叉って奴の後ろ盾があればこそっすよ。ま、相手が紅夜叉じゃ桂や坂田なんて目じゃないのは分かるっすけどねぇ」
「紅夜叉ねぇ……確かに、あいつぁ強いねぇ、いや、強すぎるねぇ。この紅桜を使ってた俺をまるで赤子の手を捻るかの様に簡単に腕を切り落としちまうんだからねぇ」
「は? 何言ってるんすか? 紅夜叉はとっくに死んでるんすよ! 幻覚でも見たんじゃないんすか?」

 岡田の言動は信ぴょう性がなかった。過去に死んだ筈の紅夜叉が生きていて、そして紅桜を使ってた岡田と一戦交えたと言うのだから。

「嘘じゃないさぁね。この斬られた腕ってのはその紅夜叉にやられたもんさ。生憎、仮面をつけてたんで素顔を拝む事は出来なかったが、ありゃぁ相当修羅場を潜ってるねぇ。体中から死臭が漂っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ