第69話 刀は使う者次第で千変万化
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襲撃し、あわや討ち取ろうまで追い詰めた際に突然乱入してきた仮面の剣士により腕を切り落とされそのまま逃げ帰ってきた似蔵その人であった。
「勝手に紅桜を持ち出した挙句、そんな深手まで負って……真選組に紅桜の事が露見したらどうするつもりだったんですか? 腹を斬る程度じゃ済みませんよ」
「随分と酷い言われようだねぇ〜。こうしてちゃんと刀を回収したんだ。大目に見てくれても良いんじゃないかい? それに、仮に真選組に嗅ぎ付けられたとしても、そん時ぁそいつらも纏めて斬っちまえば良い話だろうが」
「やれやれ、貴方は何も分かってない。今の真選組には異界からやってきたと呼ばれる腕利きが居候しています。奴らとは今は事を交えたくないのです。分かりますか?」
「異界の者? あぁ、例の魔法とかを使い輩の事かい? まさか、かの鬼兵隊がそんな嘘くさい輩を恐れてるってのかいぃ?」
「まさか、私が心配しているのは貴方のその身勝手さのせいで其処に居るであろうおにゃの子が傷物にされるのを危惧しているのです。ほら、私って見た目通りのフェミニストですからねぇ」
「………」
突然話の筋がずれた事に岡田はツッコミを入れる事はしなかった。別にとやかく言うつもりもなかっただろうし、第一ツッコミは柄じゃなかった。
「武市先輩、あんたはどう見てもロリコンでしょうが、それはそうと似蔵。あんたの勝手のせいでこっちは偉い迷惑してるんすよ!」
「おいおい、酷いねぇ寄って集って怪我人を苛めるってのかい? 叔父さん泣いちゃいそうだよぉ、シクシク―――」
「はん! 人斬り似蔵とまで言われたあんたが泣くってんならそれも見たみたいっすねぇ」
人を見下すような目でまた子は言った。彼女にとって高杉の計画の障害になるような輩は敵同然なのだ。例えそれが身内だったとしても―――
「最近のあんたの身勝手さは目に余るっすよ。こないだは桂で、今度は坂田? 何処まで晋介様を刺激する様な輩ばかり狙うんすか?」
「たまたま狙ったのがそいつらだっただけの事さぁね。別に他意はないよ」
「例えあんたの行動に他意があろうとなかろうと、こっちは良い迷惑なんすよ! も少し自重して貰いたいっすね」
「ま、また子さんが言うのも一理あります。が、やってしまった事を今さらとやかく言った所で聞く耳はないのでしょう。それよりもですよ―――」
先ほどまで窓を見ていた武市が岡田の方を向いてきた。焦点のあってないような目線が岡田を睨みつけてくる。
「貴方、晋介様の大事な客人に手を出したそうですねぇ?」
「客人? あぁ、それって昨晩船の周りをうろうろしていたチビの事かい? 悪いねぇ、誤って斬っちまったよ。まぁ、ちゃんと形見の品は頂戴してたからさ、これで勘弁してくれ―――」
岡田が懐から栗色の髪の束を放り投げた
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