第69話 刀は使う者次第で千変万化
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けっ!」
不貞腐れながら銀時は再び床に入った。確かにお妙の言う通り今の怪我では碌に動き回る事すら出来ない。此処は養生するしかないようだ。
ふと、ある事に気づいた。
新八の姿が見えないのだ。
いや、新八だけじゃない。風邪で動けない筈の神楽も、定春と一緒に散歩に行ったなのはの姿もない。完全に静まり返っている。まるで、今此処に自分たちしか居ないかのように。
「なぁ、新八達はどうした?」
「新ちゃんだったら……ちょ、ちょっと出かけてるのよ。その間留守を頼まれたのよ……そ、そうなのよ」
妙の反応に銀時は気づいた。新八はきっと今回の件に関わろうとしているんだ。そして、其処に神楽がいないとなると神楽もそれに加わったと考えるのが妥当だと思われる。
だが、それじゃなのはは一体どこへ行ったのか?
ただの犬の散歩だけなら一日居なくなる事なんてまず有り得ない。考えられる事と言えば、なのはもまた何らかの形で今回の事件に関わってしまったのかも知れない。
「……」
「無理はいけませんからね。そんな体で出て行こうなんて許しませんよ」
「誰も出て行こうなんて言ってねぇだろ。ちょっとジャンプ買って来ようとしただけだよ」
「それなら大丈夫よ。さっき買ってましたから」
「……ちっ!」
用意周到なお妙に対し、銀時は小さく、本当に小さく舌打ちをする次第であった。
***
「何と! それでは紅桜は辻斬りの手に渡ってしまったと!」
刀匠の家にて、依頼主である村田鉄矢の怒号が響き渡った。その怒号を真横で鉄子は無表情のまま聞き流しており、新八は少し喧しそうな顔をしている。そして、そんな新八の横ではまだ顔の赤い神楽がぐらぐらと揺れ動きながら座っていた。
「すみません、結局紅桜は取り戻す事が出来なかったんです」
「それで! その坂田さんに致命傷を負わせた仮面の剣士とは一体何者なのですか? それにこの刀! 見れば見る程紅桜に良く似ている!」
鉄矢が眺めていたのは新八が持ってきた一本の刀であった。昨晩、似蔵と銀時との間に割って入り、一時は銀時を救ったかに見えた仮面の剣士が突如身を翻して銀時に突き刺した一本の刀だったのだ。
「僕も良く分からないんですが、刀匠である貴方達にならそれが何なのか分かると思って……それで持ってきたんです」
「もしやこれは……いや、そんな筈はない! あれは既にこの世にない刀の筈だ! だが……」
「何か知ってるんですか? その刀は一体何なんですか?」
「………新八殿、と言ったかな? 少し昔話をさせて貰おう!」
鉄矢は語った。それは、紅桜を作ったであろう刀匠、村田仁鉄よりも前の話だ。言うなれば、鉄矢や鉄子の祖父にあたる人物の話である。二人が生ま
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