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駄目親父としっかり娘の珍道中
第69話 刀は使う者次第で千変万化
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………ま、まさか……」

 カクカクと首が恐る恐るなのはの方へと向く。それに反応するかの様に、なのはも銀時の方を見る。

「おい……まさか、お前の好きな人って……まさか―――」
「うん、高杉晋介さん……私が好きな人だよ」

 満面の笑みでそう答えるなのは。それを見た途端、銀時は目の前が真っ暗になり、天に向かい激しい絶叫をあげるのであった。




     ***




「止めろ! そいつは、そいつだけは駄目だあああああ!」

 悲鳴と共に脱兎の如く起き上がると、其処は何時もの万事屋の銀時が寝ている場所だった。しかもご丁寧に怪我の手当までしてあり布団まで敷いてある有様だった。

「随分用意が良いな。新八も大分気が回るようになったじゃねぇか」

 一人で納得しだす銀時。ともあれ、目が覚めたのだから何時までも布団の中、と言う訳にはいかない。とっとと起きた方が良さそうだ。
 思い立ったが吉日とばかりに立ち上がろうとした刹那、銀時の目先に鋭い刃物が突き付けられた。良く見れば、それは薙刀のそれであった。そして、それを持っていたのは新八の姉の妙であった。

「あら銀さん。そんな怪我で何処行こうとしてるんですか? そんな怪我で出歩いたら今度こそ……殺しますよ」
「あ、あれ〜、おかしいなぁ。さっき幻聴が聞こえた気がしたんだけどなぁ。さっき言わなかった? 『殺しますよ』って―――」
「気のせいですよ。でも……少しでも動いたらその時は……仕留めますよ」
「ほら、また聞こえた! 絶対聞こえたって! 今度は確実に聞こえたんだけど、ねぇ? 俺の耳どうなっちゃったのぉ!?」

 何気ないやり取りの中、妙は終始ニコニコしているのだが反対に銀時は徐々に顔面が青くなっていった。相手は怪物志村妙、対してこちらは満身創痍の上に丸腰。
 まるで勝負にならなかった。と、言うより常日頃から彼女とは勝負にすらならないのだが。
 
「本当にもう……怪我した銀さんを見た時は驚きましたよ。全身血まみれだったんですから」
「あぁ……それじゃこの手当してくれたのって……お前か?」
「そうですよ。怪我の具合はどうですか?」
「……包帯が偉くきついんですけど、雌ゴリラに手当されりゃそうなる―――」

 言い終わる前に銀時の顔面に妙の鉄拳が叩き込まれたのは言うまでもない。銀時の顔面は梅干しの如くめり込みとても痛々しい顔が其処にはあった。

「て、てめぇ……患者にはもう少し優しく接しろや! このままじゃ俺の怪我が更に悪化すんじゃねぇか!」
「それだけ軽口が叩けるんでしたら大丈夫です。後、人の事ゴリラ呼ばわりするのは失礼ですよ」
「おめぇだって散々あのストーカーの事ゴリラ呼ばわりしてたじゃねぇか」
「それはそれ、これはこれです」

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