第69話 刀は使う者次第で千変万化
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空に日が昇り、江戸に新たな朝が訪れる。街行く人々からすれば変わりない平凡な一日の始まりであろう。誰もが、つつがなく過ごせるだろうと思っていた。
だが、そんな中坂田銀時だけは違っていた。
万事屋内にて、銀時は緊迫した思いで座っていた。何時になく強張った表情で其処に銀時は座っていた。
まるでシリアスシーンに入った銀さんみたいな感じで。
そんな銀時の真向いには見慣れない女性が一人座っていた。栗色の長い髪の女性だった。
女性の頬はほのかに赤らんでいた。銀時の目線をじっと見つめて、何かを言おうとしていたようだ。
それとは対照的に、銀時の表情は緊迫しており、尚且つ暗かった。
「んで、俺に言いたい事って何だよ。なのは?」
どうやら、目の前に座っている女性はなのはだったようだ。前回の後から恐らく約10年近く時が経ってしまったのだろう。
気が付けば、銀時もすっかりいい感じのおっさんになっており、目の前に座っているなのはも今では綺麗な女性になっていた。
「うん……実は、私好きな人が出来たんだ」
「…………え?」
なのはの言った答えは銀時の思考を全て抹消し、更地に変えてしまう程の衝撃であった。
娘親ならば分かる事だろう。手塩に掛けて育てた大事な一人娘が嫁に行く。ふつうならもろ手を挙げて喜んであげたい所だろうが、相手が相手だ。
碌でもない輩に大事な娘をやる訳にはいかない。
「で、ででで……相手は誰なんだ!? まさか……」
「実は……今来て貰ってるんだ」
ほのかに頬を赤らめながらなのはは入り口の方を見た。間違いない。こいつら其処まで出来てるんだ。銀時はそう直感した。
相手は、相手は一体誰なんだ? 其処が銀時には心配だった。今の所銀時がなのはを嫁に出しても良いと思っている男は一人しかいない。
そう、以前海鳴市に飛ばされた際に共に戦った執務管のクロノだ。あの若さでそれだけの役職についていると言う事は将来的に安泰なのは間違いない。
加えて顔立ちもまあまあ良い方だし面倒見も良さそうにも見える。あの男になら任せても良いと思っていた。寧ろ婿養子に欲しい位だと思えていた。
入り口の扉が静かに開き、足音が少しずつこちらに向かってきているのが分かる。
期待と不安が半々の状態の中、銀時はこちらに来るであろう彼氏を舞った。
横開きの戸が音を立てて開き、その奥から例の彼氏が姿を現した。
「よぅ、久しぶりだな。銀時」
「て……てめぇは……高杉!」
奥から現れたのは、まさかまさかの高杉であった。全く予想外の輩の登場に銀時は目を大きく見開き更に顔色が青く染まりだした。
「な……何でてめぇが家に来てんだゴラァ!」
「聞いてねぇのか? 呼ばれて来たんだよ。俺ぁな」
「よ……呼ばれてって
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