第二章
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たのであろうか。この深い苦悩から。
黒木と仁科の案は通った。彼等は晴れて開発と実用化を認められたのだ。
「やったな、仁科」
「はい、大尉殿」
二人は笑顔だった。海を背景に今笑顔で頷き合っていた。
「これで我等の悲願が果たせる」
「我が国の為に戦うことを」
「命をかけてな」
黒木はそれが果たせることにまずは満足していたのだ。
「では。用意はいいな」
「何時でも宜しいであります」
仁科はこう黒木に答えた。
「今からでも」
「よし、よく言った」
黒木はこの言葉を聞いてまた笑顔になる。会心の笑みといった感じであった。
「では。すぐに取り掛かるぞ」
「はい、回天」
その兵器の名を今出した。
「是非共実用化させましょう、我が国の為に」
「日本の為に」
海を見ながら誓い合う。その決意は今彼等が立っている岩よりも硬かった。その決意を胸にすぐにその回天の開発に取り掛かった。この回天は特別な兵器であった。
人間が乗り込む魚雷なのだ。つまりは特攻兵器だ。乗り込み出撃する者の命は当然ながらない。だが彼等はそれを承知のうえで開発し実用化しようとしているのだ。全ては日本の為だった。そこには狂気も妄執も何もなかった。ただ日本の為に戦いたい、そして死にたい。ただその心があるだけであった。
その心を胸に日々開発に取り組む。開発が整った後はテストであった。これまた日々乗り込み回天のテストにいそしむのであった。
「今日はどうだったか」
「駄目です」
二人は回天から出て話をしていた。周りには彼等に賛同する者達が揃っていた。彼等もまた日本の為に命を捨てる気でいたのだ。
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