ヴェルーリヤ――石相におけるジェナヴァ――
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よくわかった。
自分だけが特別な存在なのではない。命というものが、それぞれ、他に二つとない意図を持って生まれてきたのなら。それゆえに崇高であるのなら。高く清らかな世界から、誤って落ちて来たのではないのなら。命ある者が、間違って生まれてきたのではないのなら。
生まれ落ちた日と同じように、ヴェルーリヤは横たわったまま涙を流した。その姿を、真円に満ちた月が照らしていた。
長らく閉ざされていたルフマンの神殿の門が軋みながら開き、中から一人の青年が姿を現した。青年は裏の洞窟にまわり、小舟を漕いで島から出て行った。小舟は、かつてジェナヴァと呼ばれた町があった方角に消えて行った。
小舟が見えなくなった後、小島の神殿では、白々と夜が明け始めた。
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