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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十九日:『息吹くもの』
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ち倒した勢いのまま、両足から()()()()()()()現れた。

「よう、ジュゼ……数任せとは相変わらず、器がちっちェえなァ!」
「うるせェんだぜ、ロリコン野郎。先人(いわ)く、『勝てば官軍負ければ賊』!」
「違いねェ!!」

 剣道部主将にして、嚆矢にとっては親友の一人。大能力者(レベル4)の『発火能力(パイロキネシス)』、弐天巌流学園三年“錣刃 主税(しころば ちから)”こと『ジュゼ』。
 触れたモノや己の体から瞬間的に一方向にベクトルを集中させた炎や熱波を放つその能力、付いた渾名が『爆縮偏向(アフターバーナー)』。同系統の能力者でも屈指の実力者である。

 そしてその剣は、“小乱蜻蛉崩(ショウラントンボクズシ)”。安土桃山時代に勃興した“天流(テンリュウ)”の技だ。

「「ッ!」」

 その二人が、互いに弾き飛ばしながら距離を取った──その刹那、二人が居た空間を人影が走る。少林拳部主将が、物凄い勢いで……()()()()()()()()()

「ぶふぅ……やっぱり、一石二鳥とはいかないんだな」
「マグラ……!」

 それを為したのは、丁髷(チョンマゲ)に回し姿の巨漢。やはり、嚆矢にとっては親友の一人。相撲部主将にして大能力者(レベル4)の『圧力操作(コンプレッサー)』、弐天巌流学園三年“土倉 間蔵(つちくら かんぞう)”こと『マグラ』。
 己の周囲の気圧を操る攻防一体のその能力、付いた渾名が『気圧隔壁(エアロック)』。やはり、同系統の能力者でも屈指の実力者である。

「やっぱり残ったのはこの面子か」
「当前っちゃ当前なんだぜ」
「嘆かわしい事なんだな」

 竹刀を投げ、右手を前に出した構えを取る嚆矢。合気道部主将にして異能力者(レベル2)の『確率使い(エンカウンター)』、弐天巌流学園三年“対馬 嚆矢(つしま こうじ)”こと『コウ』。
 確率を操り、『一から九十九の間ならば好きな結果を掴み取れる』その能力、付いた渾名が『制空権域(アトモスフィア)』。他に同系統の能力者の居ない、唯一にして普遍たる能力者である。

「「「────────」」」

 睨み合う三人、それは“三竦み”。嚆矢と間蔵と主税、竜と虎と鷹の三つ巴の間柄だ。
 同学年であり親友であり好敵手。絵に描いたかのような、間柄。

「どうした、来いよ? おチビちゃん、ビビってる?」
「カァッチィ〜ン……あぁん、何か言ったかぜ、独活(うど)のロリペド」
「カァッチィ〜ン……俺をあんな犯罪者予備軍と一緒にしてんなよクソチビ」
「ぷふぅ、チビとペドが噛み付き合ってるんだな」
「「うるせー百貫デブ!」
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