抉りて殺せ (3)
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.。確かに、この少女がベアトリーチェならその言葉が一番相応しい。
◇◆◇◆◇◆◇◆
─現在 (金蔵の書斎)─
愛がなければ見えない......。
そうか、これか。俺が求めていたヒントは。これでようやく、あの部屋から逃れられるかもしれない。やっと、死ねる。
「真里亞は、寝てしまったな」
寝息を立てる姿を眺めていると、部屋の電話が鳴り響いた。
真里亞を起こさないように静かに離れ、いつもは金蔵が座る机に置かれた電話を取った。
「...誰だ」
「『俺だ。戦人だ』」
「少し声のボリュームを下げてくれ。今、真里亞が寝たばかりなんだ」
「『す、すまん...』」
何をそんなに興奮しているのか。まあ、大体は想像がつく。
「『じい様の碑文。...何か知ってるなら教えてくれ』」
やっぱりな。土壇場になるまで誰も謎を解こうとしないのは、右代宮家の短所だと思うのは俺だけか?
とりあえず、戦人の話を聞いてみることにしよう。
「“何か”と言われてもな...。お前たちは、どこまで推理出来たんだ?」
「『じい様の隠し黄金は、この島のどこかにある。それは分かってんだが、じい様の“懐かしき故郷”ってのが分からねえ。譲治の兄貴は、台湾じゃないかと思ってるみてえだけど』」
ほう...。なかなか考えたじゃないか。
「そうだな。その考えでいい。譲治の考え通り、金蔵の“懐かしき故郷”は台湾だ」
電話の向こう側で歓喜の声が聞こえる。自分の推理が当たれば誰だって嬉しいからな。
だが、あの様子だとまだ何も分かってはいないようだ。
「『じゃあ、“鮎の川”ってのは...』」
「おいおい。俺がそう何度もヒントをやると思っているのか? 少しは自分たちで考えろ。また何か分かったら電話すればいい」
「『お前、この碑文を解いたのか?』」
「その碑文は、金蔵と俺が作った。......そう言えば納得出来るか?
ーーああ、そうだ。使用人室の何処かに地図帳があったはずだ。3人で仲良く探してみるといい。じゃあな」
─使用人室─
くそっ! 切られちまった。
でも、最後に何か言ってたな。地図帳...だったか? なんでそんな物を?
「駄目だったのかい?」
「あいつは、碑文の謎の答えを知ってる。でも、俺たちに答えを教える気は無いとよ」
「自分で解け、ということね」
俺は、狼銃が最後に言った地図帳のことを伝える。譲治兄貴はぽかんとしていたが、絵羽叔母さんは何か思い付いたように部屋の中の本や棚を調べ始めた。
叔母さん1人に任せておくわけにもいかず、俺も探すのを
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