第三十五話 月光の下でその十
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「まさにな」
「極限の戦いだからこそ」
「そうしたものがないとな」
機転、相手を見抜く目といったものがというのだ。
「やられるのはこっちだよ」
「そういうことなのね」
「そうなんだよ、まあとにかくな」
薊は菊と向日葵が自分達のところに戻ってきたところで全員に言った。
「戦い終わったしさ」
「夜も深いわ」
菖蒲がその薊に応える。
「だからね」
「もう帰るか、怪人だけが出て来る訳じゃないからな」
「おかしな男の人達が出て来たら」
「あしらえるにしても」
「鬱陶しいからな」
「夜の琵琶湖はとりあえず楽しんだわ」
その目で見てだ。
「だからね」
「もう帰ろうか」
「そうしましょう」
「帰ってもう一回温泉入って寝るか」
薊はここでも風呂だった。
「すっきりしてな」
「そうしましょう、そしてまた明日よ」
こう話してだ、そしてだった。
薊達はこの日は旅館に戻ってそうして実際に風呂に入って寝た。そしてその次の日は。
朝食を食べて朝にも風呂に入って歯も磨いてだった、七人は琵琶湖の遊覧船乗り場に向かった。その乗り場には鈴蘭と黒蘭もいた。
薊から二人に昨夜のことを話した、すると鈴蘭が少し考える顔になって述べた。
「やっぱり怪人達はわかってるわね」
「あたし達が何時何処にいるかってことがだよな」
「ええ、かなり把握しているわ」
そうだというのだ。
「そのうえで仕掛けてきてるわね」
「だよな、わざわざ琵琶湖くんだりまで来てな」
「戦いを挑んでくるとなると」
それこそ、というのだ。
「本当にそうね」
「あたし達の身体に何かあるのかね」
薊は遊覧船がこちらに来るのを見つつ言った。
「ひょっとして」
「私達の?」
「ああ、身体にな」
それでというのだ。
「だからあたし達の前にいつも出て来るのかね」
「確かにそうも考えられるわね」
黒蘭もだった、薊のその言葉に応えて言った。
「私達が旅行に出ていることは知っている人は少ないわ」
「親とか寮長先生とかか?」
薊は腕を組んで自分達が旅行に出ていることを知っている人間を挙げた。
「あと先輩だけれど」
「どの人も怪人と関係あるとは思えないわよ」
菊も薊に言って来た。
「どう考えても」
「だよな、どの人も普通だからな」
「誰かが黒幕っていう可能性はね」
菊は怪訝な顔のまま述べた。
「それもね」
「その可能性はなあ」
「あると言えばあるけれど」
「あんな連中をしょっちゅう出せるなんてな」
「普通の人になりすますにしても」
「出るだろ、何処からか」
そうではないかというのだ。
「目や顔つき、それに日常生活の中でな」
「ううん、お金とか技術とか設備とかね」
向日葵も言った。
「そういうこと
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