第三十五話 月光の下でその八
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「ちょっとね」
「違うの?」
「うん、そうなの」
「じゃあどういうことなの?」
「確かに弓道の極意は頭にあったわ」
弓を使わずに矢を放つ、それがというのだ。
「けれど私そこまでは腕が達していないから」
「違うのね」
「力を使ったから」
自身の力である光、それをというのだ。
「だからまた別なの」
「そういうことなのね」
「気を使えるまではね」
とても、というのだ。
「達していないわ」
「そうなのね」
「あれはまた特別よ」
武道において気を使える様になるにはというのだ。実際に名人伝でもまさに神と言っていい力量になってから出来たことだ。
「あそこまでなれる様になるには」
「もっともっと修行を積まないとね」
「なれないわ」
到底というのだ。
「だからまた違うの」
「言うならば応用ね」
「そう、弓道の極意のね」
それの力をというのだ。
「そうしたの」
「そういうことなのね」
「ええ、ただそれが上手くいってね」
「勝てたのね」
「そうなの、あと菊ちゃんの技は」
「見てたの?」
「聞いてたわ」
このことは菊と同じだった、向日葵にしても目は怪人に集中させていた。視線を僅かでも逸らせば隙を作り敗れるからだ。
「ちゃんとね」
「そうだったのね」
「あの技は忍術?」
「そう、甲賀流忍術の極意なのよ」
「漫画やゲームの必殺技みたいね」
「そうでしょ、忍術ってのは実は地味なものだけれど」
忍ぶものだからだ、影に生きる者達が派手な技を使うことはないのだ。
「けれどあの技はね」
「派手よね」
「相手を掴んで真上に飛んでから真っ逆さまに落ちてその脳天を叩きつける技だからね」
「ええ、大技よね」
「まさにね、相手を一撃で倒す」
その脳天、急所の中の急所を打ってだ。
「そうした技だからね」
「まさに切り札よね」
「そのうちの一つよ、状況が許したね」
まさに、というのだ。
「その時にだけ使うものなのよ」
「相手を掴める状況にして」
「跳べて相手の脳天を砕ける状況じゃないとね」
「繰り出せない技よね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「状況を選ぶ技なの」
「滅多に使えないのね」
「そうなのね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「使ったらもうね」
その時はというのだ。
「まさに必殺の技だから」
「決めたら会心っていうのね」
「そう、本当に気持ちいいわ」
そうした技だというのだ。
「私にとってもね」
「そうなのね、本当に奇麗に決まったのね」
「私的にもね、さっきは本当にね」
「それは何よりね」
「さて、戦いも終わったし」
「それならよね」
「後はね」
それならと言ってだ、そして。
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