第五章
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「いますか?」
「それは返事と思っていいのか?」
「あんな奇麗な娘いるんですね、しかも社会人なら」
さらに言う智樹だった。
「俺が声をかけても」
「だから話を聞けよ」
「聞いてますよ、あと俺二十八ですから」
「今度は何だ」
「あの娘幾つですか?」
「二十四だよ、だから話がどんどんリアルになってくな」
「別にいいですよね、声かけても」
真一に断るのだった、このことも。
「俺が」
「あのな、勝手に話を進めるな」
「じゃあそういうことで」
「そういうことじゃないだろ」
「いや、それが」
「それがって何だ」
「俺独身ですから」
自分のことも言う智樹だった。
「課長からも宜しくお願いします」
「あのな、だから俺はな」
「駄目ですか、俺だと」
智樹は完全に自分のペースで真一に言っていく。
「あの、結構これで真面目で浮気もギャンブルも出会い系もしません。風俗も行ってません」
「函館にもそうした店あるけれどな」
「これでも至って真面目ですから」
「普通自分でそうは言わないだろ」
真面目とは、というのだ。
「というか何でここでそこまで強く言うんだ」
「あの娘可愛いですから」
まだ由里を見ていた、そのうえでの言葉だ。
「色々と」
「本当に色々過ぎるな」
「とにかく紹介して下さい」
最早有無を言わせない口調だった。
「あの娘」
「自分で言え」
真一は智樹に憮然とした顔で返した。
「そんなことはな」
「ってことは」
「俺は何も言わないからな」
真一はその憮然となった顔でさらに言った。
「そして手伝わない」
「協力してくれないんですか」
「邪魔もしない」
「つまりどちらでもないですか」
「そんなの御前の勝手にしろ、これは最大限の譲歩だぞ」
「冷たいですね、j北海道の風みたいに」
「初対面でいきなりそんなこと言う奴に対してこの態度は優しいだろ」
むしろ、というのだ。
「そうじゃないか?」
「そんなものですか」
「そうだ、わかったら自分で動け」
少し怒った感じでの言葉だった。
「いいな」
「わかりました、じゃあ」
こうしてだった、智樹は早速由里のところに言って彼女に声をかけた、その彼を見てだ。カウンターのお婆さんは少し呆れた顔になって息子に言った。
「あんたの部下の人だけれど」
「あの通りだよ」
「随分軟派だね」
「あんな奴だったなんてな」
真一も母に首を傾げさせつつ返す。
「思わなかったよ」
「そうなんだね」
「けれどあれで仕事は真面目で的確でな」
「出来るんだね」
「それで悪い奴じゃないんだよ」
人間としてもというのだ。
「けれど今日はな」
「由里を見てかい」
「急変したよ」
「そうなんだね」
「ああ、まああいつ
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