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ジョジョは奇妙な英雄
『悪霊使い』の少年そのB
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? その日は全てが充実していた。千城の目に映る世界の何もかもが美しく見えるほどで授業時間もまた然りである。頭が冴え、その日は教師に指名されても難なく答えることができた。日頃から成績は安定しているが、この日はいつも以上だったので教師に良く褒められた。
? ?幼馴染みからの手紙が来ただけで此処まで出来るのは安っぽい感じがするが、千城にとってはアーシアにまた会えるという想いが日々を生きる活力をより強くさせたのだ。その場に立ち会っていたも同然のチェザーレやレイナーレもこの日の千城を見て苦笑いしながらも、普段よりは笑うようになっている千城を見ていると心が安らいだ。日頃からあまり笑わない少年であるからか、自分も不思議と嬉しくなったのだ。

「お前、今日一日幸せそうだったな」
「そう見えるか?」
「ああ、俺にはそう見えたよ」

? 放課後、帰宅の用意を整えているときに一誠はふと千城に声をかけた。レイナーレを待たせまいとして早くしているのはわかるが、容姿端麗かつ健気に千城に尽くすとして学年に知られている『天野夕麻』を待たせて三匹のエロの一人と会話しているのは良いように捉えられていないようで、こうして視線を受けている。先に帰った松田と元浜は「リア充凄まじく爆発しろ!」と言いながら先に帰って行ってしまった。凄まじく爆発しろ、とはどんな意味なのかと突っ込みどころが満載だったがチェザーレに止められた。やめておけと。

「実は幼馴染みにまた会えるかもしれないんだ」
「良かったじゃないか、いつから会ってないんだ?そういえば、俺もいたな………」
「お前も?」
「ああ、海外に転校しちゃったけどな。いや、転勤か」

? ?どうも一誠とは共通点があるらしい。ふと物思いに耽る一誠だったが、千城を射抜かんとする視線が学友以外にも金髪の一年上の先輩らしき男、嫁にしたい女子ランキング一位の金髪少女、そしてレイナーレの視線に気づいて早急に言った。

「もう、早く行ったほうがいいんじゃないか?実は俺、今日はデートなんだ」
「………兵藤、お前、頭大丈夫か?」
「お前に言われたくねえよ!?マジだよマジ!朝に聞いたろ!?加奈ちゃんだよ!」

? ?哀れみの視線を送る千城が待たせている三人の元に向かっていく背中を見ながら、ふと一誠は思った。
? ?思えば、千城と出会って今年で二年になる。
? ?無愛想でかつ無口、そして周囲にあまり興味がないようで彼の世話をしているらしい少女(家は裕福なのかと一誠は思った)や現在ではすっかりお節介で有名になった、チェザーレ先輩によると決して悪い子ではないとのこと。そのことを否定せんとして二人に無言の威圧を向けるが、決して千城はただ無愛想にしているだけには思えなかった。瞳の奥にある孤独は一誠にもなんとなく見えるものの、深過ぎて千城が助けを求
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