暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十三話 イミテーションの叛逆−碧−
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
/Alvin

 骸殻とかいうのを使ってる姿のユースティアが、フェイを横抱きにしたまま仄かに笑んだ。

「ただいま。アル、ジランドおじさま」
「ユースティア……?」
「ユティっ!」

 フェイを下ろして空手になった彼女へと駆けてって、俺はユースティアを抱き上げた。細くて軽い。いつもと変わらない重さ。いつもと同じ、拒まない彼女。

 信じられねえ。でも、現実なんだよな。

「前に話したでしょう? ワタシの一族にはパラレルワールドを渡る力があるって。フェイ姉を連れて分史世界(パラレルワールド)に避難したの。正直、それだけのために世界を一つ消すなんて、本当にヒドイ所業だと思うけど。おかげで大事な(しるべ)が手に入った。ここが脱出点になったのは、壊した時に近くにいたからだと思う」
「難しい話は後だ。……よかった。本当に」

 鳩尾にすり寄るように抱き締めると、ユースティアも俺の頭を抱え込んで撫でた。
 満足して、ユースティアを下ろす。

 フェイは……あっちはあっちで盛り上がってら。
 よかったな、ヴィクトル。俺もこれでクレインとローエンのじーさんにいい報告ができるぜ。





/Victor

「おいっ!」
「ヴィクトルっ! フェイですよ、フェイ!」『生きてたんだー! わーい!』

 ユースティアが横抱きにしていたフェイリオを地面に下ろした。
 プラチナクロークの袖と裾を翻しながら、フェイリオはこちらに走ってくる。

 足が、口が、勝手に動いていた。

「……っフェイ!」
「パパぁ!」

 胸に飛び込んだ娘をしっかり受け止め、きつく抱く。
 ああ、体温が、感触がある。確かにここに居る。

「……ユティちゃんがね。ジルニトラが潰れる寸前に、フェイを分史世界に連れてってくれたの」

 ユースティアが?

「おかげで全然違う場所に出て、わたしもユティちゃんもケガしなかったんだよ。でも、戻るのには時歪の因子(タイムファクター)を壊さなきゃいけなくて、時間、かかっちゃって。ごめんなさい」

 いい。今はいいんだ。無事だっただけで。またこの手に抱けただけで。

 アルヴィンたちのほうでも、ユースティアとの再会を喜ぶ声が聞こえる。

 これでやっと元通りだ。望んだ全てが今、揃った。今なら相手がミラだろうがミュゼだろうが負ける気がしない。

 すると、ユースティアがアルヴィンの腕を離れて、骸殻のままフリウリ・スピアを正眼に構えた。刃先にいるのは、ミラとミュゼ――「使命」に縛られた痛ましい姉妹。

「ワタシたち二人には、クルスニクに代々伝わる『鍵』の力がある。二人分使えばアナタたちの消滅なんてカンタン」

 ユースティアはフリウリ・スピアを軽く傾ける。刃に光が
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ