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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十三話 イミテーションの叛逆−碧−
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アッチはアッチで騒がしい。


『フェ〜イ〜〜〜〜っっ』
「うひゃあ!」

 ティポとエリーゼのタックルでひっくり返るフェイ姉。

「フェイ、本当にフェイです…よかった、フェイ…」
「うん。心配かけてゴメンネ。エリー」
『本当だよー! みんな心配したんだからなー! わーん!』
「アリガトウ。嬉しいよ」

 フェイ姉の笑みは空々しいけど、誰も気づかない。エリーゼもイバルも人生経験値が足りてないネ。

 分史に避難してから、時歪の因子を探すまでに散々話した。ワタシの『番外分史』とフェイ姉の〈妖精分史〉の違い、差。そして、断界殻を開いたら、フェイ姉、そして叔父貴がどうなってしまうか。

 一度アルたちから離れて、叔父貴に歩み寄った。

「ヴィクトル」

 ルドガーって呼ばれるのはイヤかもしれないから、念のためこっちの呼び方で。

 右目だけが赤くて、髪を長くしても隠せてない、右頬の時歪の因子化。覚えてる。ワタシの『番外分史』でも『エル姉』がそんな顔をしてた。

「これからを考えて、アナタに見せておきたい物が、ある」

 クロークの胸元を緩めて、常時大事に持ち歩いてたモノを出して、よく見えるように差し出した。

「『海瀑幻魔の眼』、『箱舟守護者の心臓』。これがワタシが集められた『カナンの道標』よ」
「! ユースティア、君は――」

 返事は聞かない。ワタシの因子化が進んだのもコレを探してたせいだなんて気づかせない。
 黒い叔父貴の手に強引に二つの『道標』を握らせる。

「とーさまは最期まで、アナタの生と幸せを願ってた。とーさまだけじゃない、アルおじさまも。オトナになったアナタの仲間たちも。忘れないで、ルドガー。いつでも、どこにいても、ユリウスたちはアナタを愛してる。アナタは独りじゃない」

 ワタシを見下ろす、翠と赤の両目。イヤでも思い出してしまう。その翠はルドガーの、エルの、瞳の色と同じだから。


 背を向けてボスたちのとこに戻った。セルシウスが一番に声をかけてきた。

『よかったのか? 大事な物なんだろう?』
「いいの。いずれ返してもらうから」

 セルシウスを見上げた。当のセルシウスは疑問顔。今はそれでイイの。

 ワタシは鍵と槍で、ジランドおじさまは源霊匣(アナタ)で、表と裏からエレンピオスを救う。
 叔父貴にだってジャマさせはしないわ。断界殻を開いて、叔父貴とフェイ姉には消えてもらう。
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