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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十三話 イミテーションの叛逆−碧−
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反射し、その鋭利さを誇示するように光った。

「これは最初で最後の警告。消されたくなかったら〈次元刀〉の譲渡を。呑めないなら、武器を持って挑んでくればいい。負けない、から」
「――いいだろう」

 あのミラが下がった!? どんな悪条件でも我を貫くミラが、こんな稚拙な交換条件に応じた? 信じられない。そんなにもオリジンの「無」の力は脅威なのか?

「そら。持って行け!」

 ミラが次元刀を天へと投げる。青白いオーラを放つ剣は回りながら放物線状に落ちてきて、我々の前に突き立った。

 任務で〈道標〉として回収した時はミュゼを殺す形でだったから、武器としての見てくれは知らずに終わった。
 悩み苦しんだ若い頃の初仕事。それがこんなにも容易く手に入った。
 ハ、どんな皮肉だこれは。

「それを持ってここから去るがいい。今回は君たちに譲ろう。だが忘れるな。時空を裂く力も、それを揮う私も健在だということを」

 ――諦める気は更々ないわけだ。

 地面に突き立った次元刀を抜く。使い方は分からないが、これで空間を切ればいいことくらいは分かる。
 軽く振り上げて、縦一文字に振り下ろした。
 宙に黒い裂け目が開いた。裂け目の向こうに見える景色は、ニ・アケリア霊山の山頂だ。

「一時撤退だ。今はこちらに分が悪い」

 皆が浮かべた表情には諸々の種類があったが、帰るという選択には誰も異を唱えなかった。

 フェイリオの手を取った。手袋越しに伝わる体温に、ひどく安堵する自分を、不思議に思いもしなかった。

 フェイリオと手を繋いだまま、二人で次元の裂け目に飛び込んだ。
 後ろからアルヴィンたちも続いたのが気配で分かった。

 次に足を着けていたのは霊山の山頂。雨はやんでいた。

 ふり返れば、次々に次元の裂け目から出てくる仲間たち。特にユースティアがアルヴィンとジランドの真ん中で二人と腕を組んでいたのは、さすがというか、ちゃっかりしているな、君。




/Eustia

 やるわけないとは思ったけど、念のため、後ろからの奇襲を警戒して、骸殻はニ・アケリア霊山に戻るまで装着しっぱなしにしてた。霊山に戻って、すぐ骸殻を解いた。

 フェイ姉が衣替えしたから、ワタシも、分史世界で調達したミスリルクロークに着替えたんで。

 ワタシの前には、大好きなアルと、大好きなジランドおじさまがいる。嬉しい気持ちが止まらなくて、にやけちゃった。

 半分アルに、半分ボスに引っ付いて、頭を押しつけた。ああ、この人たちだ。

「またアルフレドとジランドおじさまに会えて、よかった」

 ハグはなかったけど、ボスが頭に手を置いて髪をぐしゃぐしゃした。ボスの後ろでセルシウスが呆れた苦笑。


 ――さて。
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