二十二話:歪みだす歯車
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side木場祐斗
今日の気分は最悪だ。
イッセー君の制止を振り切って帰ったあの日の夜。
僕はあのいかれたはぐれ悪魔祓いに襲われた。
そう、以前アーシアさんを助けるために向かった教会で僕達が会った神父、フリードだ。
虫の居所が悪かった僕はその時は正直言ってフリードの顔を見るのも嫌だったけど、
フリードの持つ獲物を見てそんな気持ちは直ぐに吹き飛んだ。
フリードが持っていた物を僕が見間違うはずがなかった。
“僕達”が夢に見るまで憧れ……僕がこの世で最も憎んでいる物―――エクスカリバー。
長年追い求めていた復讐の対象が予期せずして目の前に現れたのだ。
僕はその時ばかりは機嫌が悪いのも忘れて歓喜した。
今になって考えてみると、どうしてあんな碌でもない奴が持っていたのかは分からないけど、その時はとにかく聖剣を壊すことが出来るチャンスが来たという事でそんな事は気にも留めなかった。心が高揚していたのだ、この手でみんなの仇が取れるのだと。
でも……仇は…エクスカリバーを壊すことは出来なかった。
逃げられてしまったのだ。いや、どちらかと言えば助かったのは僕の方かもしれない。
戦いにおいては拮抗しているように見えたが現実は僕の方が押されていた。
フリードははぐれ悪魔祓いとしては中々やる方ではあるが僕の敵ではなかった。
どうしてかと言えば、『騎士』である僕の速さなら少々強引にいっても押し切れるからだ。ルドガー君レベルの実力者なら普通に対処してくるだろうがフリードの実力なら僕が負けることは無い。少々冷静さを欠いた僕でも十分にやれるはずだった。
だというのに、どうして僕が押されてしまったのかと言うとだ。
……単純に速さで負けてしまったからだ。
普通の人間が悪魔を、しかも『騎士』を速さで上回ることなどあり得ない。
だが、フリードは上回って見せたのだ。
その理由はフリードが持っていたエクスカリバーにある。
『天閃の聖剣』実物を見るのは初めてだけど能力からして、まず間違いないと思う。
能力としては、確か持ち主の速さを底上げする物だったと記憶している。
エクスカリバーに関しては施設に居た時に嫌と言うほど情報を叩きこまれたし、復讐の前準備として能力を調べていたから自信はある。
だからこそ、不覚を取ってしまったことが悔やまれる……。
もし、話し方が何だかイライラする男がフリードに撤収を指示していなければ僕は負けていただろう。……今回の敗因は僕が冷静さを欠いていたことが主な原因だろう。
今度会った時は冷静さを無くさずに確実に仕留めないとね……。
正直言ってこうして自分が冷静に自己判断出来ている事に驚く。
僕の事だからエクスカリバーを前にす
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