二十二話:歪みだす歯車
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が俺の手から離れて二度と元に戻ってこなくなったあの時の夢なのか? 選択に悩んでいるからこんな夢を見ているのか、俺は。
それとも俺が君に会いたいと思ったから夢に出て来たのか。
もし、そうだとしたら……どうしてこんな辛い記憶から呼び出すんだよ。
『あきらめちゃダメ、ミラー!』
やめてくれよ。夢の中でも俺に選択を迫るって言うのか。
もう、俺は君を見捨てるなんて選択はしたくないんだ。
でも、この状況じゃあエルが殺されてしまう。何よりも大切な俺の『アイボー』が!
……でも、それでも君の手を離したくなんてなかった。
それなのに俺は君の手を離してしまった…俺だけが生き残ってしまった。
どうして君が居ないのに俺だけがこうしてのうのうと生きているんだ。
『しっかりしろ! 誰がエルのスープをつくるんだ!』
やめてくれ…やめてくれ…やめてくれ!
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ!
もう、俺の手を離すなんて選択はしないでくれ。俺は君の手を離す気なんてなかったんだ。
君もエルも両方を助けたかったんだ。それがどれだけ甘く、どれだけ難しい選択かも分かっている。でも……俺は君の手を離したくない…っ!
『……ごめん。あなたがつくってあげて』
お願いだからそんなこと言わないでくれ! 君は最後の最後に俺にレシピを託してくれた。
確かに、エルが喜びそうなスープだったし、俺もこれならエルのスープランキング二位の座を譲っていいと思った……。でもさ……君が作ってあげなきゃダメだろ!
最後の“道標”を集めて帰って着た後に君のスープを作った。
でも、そこに君は居なかった。エルは俺のせいで君のスープを最初は拒絶した。
最後には飲んでくれたけど、それでも…それでも…っ。
君がいれば“しょっぱい”スープにならなかったかもしれない。
だから俺は…君とエルを一緒に居させてあげたい。
君にエルのスープを作らせてあげたい。エルに君のスープを飲ませてあげたい。
そのためなら俺は…っ! 今を…全てを捨てて―――
「あなたねえ、ふざけるんじゃないわよ!」
突如、顔面に鋭い痛みを感じ、そのまま倒れ込む。
……倒れ込む? 慌てて辺りを見回して見るとそこはミラを失った場所ではなく、一面真っ白で何もないある種の神秘さを感じさせる空間だった。
それにしてもさっきの声は……それに殴られた痛み。
もしかしなくても―――
「どう、少しは目が覚めたかしら? と言っても、現実ではあなたはグッスリでし
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