ヴェルーリヤ――石相におけるジェナヴァ――
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、神殿から離れようとヴェルーリヤは決した。水と大気の精霊が、危機の少ない道筋をヴェルーリヤの感覚に教えた。
ヴェルーリヤはようよう洞窟への隠し通路にたどり着いた。背後に点々と残る屍を辿って、背後から番兵たちがとめどなく押し寄せて来る。隠し扉の内側に閂をかけたが、突破されるのは時間の問題に思われた。
内なる目を頼りに通路の闇を抜ければ、かつてルフマンが用意した小舟が残されている筈だった。
やがて、裏の洞窟の、月明かりを反射してのたうつ黒い海面が見えた。洞窟に飛び出したヴェルーリヤの眼前に、何者かが素早く立ちはだかった。回避する間もなく、それはヴェルーリヤの肩に、槍の穂先を叩きこんだ。
よろめき、海に転落しながら、その番兵が纏う衣にギャヴァンの神印が描かれているのをヴェルーリヤは見た。ヴェルーリヤは手を上げ、岸を掴もうとした。その体を、黒い海の底から伸びる二本の腕が掴み、海中に引きこんだ。
大小の泡が苦しげに、海面に浮かんで弾けた。
その内に、泡も消え、海に静けさが戻った。
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