第2話 餌食
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てしまっている。理性の上では抵抗できても、身体が、男を悦ばせる女肉としての凛が拒みきれていない。
「ふ……あぁ……ん……ん……」
出したくもない声が自然に、あまりにも自然に凛の口からこぼれていった。凌辱者を昂ぶらせるためだけに発せられる、甘え声……
アーチャーはぐったりとした凛の上に圧し掛かり、彼女の首筋などを舐めてゆく。両乳房は、すでに揉みしごかれ真っ赤になっていた。さらに、その小ぶりながら形の良い2つの柔丘をいじめ抜きながら、彼は凛の髪を片手間に揃え流し、行為で傷まないよう配慮した。
小憎らしいことに、やはりアーチャーから性的絶頂の匂いは感じ取れなかった。よって、これで終わりのはずもなく、凛はただ時を待った――諦めの境地で。
「はぁ……あ……は……ぁは……は……」
もう、このまま大切にしてきたものを何もかも奪われるのは時間の問題に思われたのである。再び気分が高まっていき、全身が甘い熱で浸されてゆく。心の芯までも痺れ、抵抗する気すら正気とともに消えてゆく……
しかし、アーチャーは動かなかった。
「アーチャー?」
堪らず、凛が呼びかけると、アーチャーは彼女の双乳から自分の胸板を静かに引き剥がした。
「ふん、やっと消えたか……」
「え?」
ベッドの縁に腰掛けるアーチャーに、凛も上半身を起こし、その意図することの説明を促す。
「キャスターの魔術の気配だ。気づかなかったのか?」
「キャスター……」
凛は、アーチャーの言わんとすることを即座には理解できなかった。
「ああ。あの魔女……一昨晩から私たちをずっと監視していたのでな。この際だ、存分に見せつけてやろうと思ったのだ」
アーチャーは、そう言葉を続けたが、凛は俄かには信じられなかった。魔術で監視していたというが、弓兵であるアーチャーがそれに気づいて、生粋の魔術師たる凛自身が気配すら感じないなどということが有り得るだろうか。それに、この遠坂邸の結界をすり抜けるためには、一流の魔術師であってもかなり入念な下準備等が必要になるはずなのに。
と、そこまで考え、凛はもっと卑近で重大な事実に、はたと気づいた。
「監視……見せつけるって……ひょっとして今のを、さっきまでの私たちの事をキャスターが見てたっていうんじゃないでしょうね!?」
極度の緊張を伴った羞恥で、凛の顔は一瞬で、これ以上なく赤く、遠坂の紅――ワインレッドに近い色に染まった。
「どうした、凛。君らしくもない」
その彼女の顔を見ても、アーチャーはいつもの如く、飄然としている。
「違うんでしょ……?」
祈る気持ちで、凛は確認を取った。それに対して、アーチャーの返答はまた、手短だった……信じがたいほどに。
「いや?」
「…………!!!」
「あの女狐め、君と私の仲睦まじいところを見せつけられて、
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