第六章
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相手になるかどうかだ。甚だ疑問だったのだ。
「敗れた国の者なぞ」
「どれだけのものかと思いましたが」
「嬉しい誤算だ」
チャーチルはこうも言った。
「非常にだ。そしてだ」
「そして?」
「そしてといいますと」
「彼等の様な者がいればだ」
その戦う他国のパイロット達のことだ。
「彼等の国は蘇るかもな」
「ドイツに勝ちですか」
「そうなると」
「確かに国力や技術は重要だ」
そうしたものがあってこその戦争だ。これは事実だった。
「しかし。それ以上にだ」
「心ですね」
「それですね」
「国を護り戦おうという心がなければどうしようもない」
そうだというのだ。チャーチルは強い目で言うのだった。
「例えば国を売る様な性根の人間に国力や技術を与えても駄目だな」
「それを国を売る為に使います」
「間違いなくです」
「しかし国の為に戦う者ならばだ」
そうした人間ならだ。どうかというのだ。
「果敢に戦ってくれるな」
「そういうことですね。つまりは心ですね」
「重要になるのは」
「そういうことになる。彼等にはその心がある」
祖国は降伏し旧式機に乗っていてもだ。それでもだというのだ。
そうしたものを見てだ。チャーチルは今言うのだった。
「それで最後に勝てない筈がない」
「そうなりますね」
「つまりは」
「そうだ。そうなる」
チャーチルは確信と共に話すのだった。
「今はどれだけ辛くともな」
「では我々もですね」
「ここで踏み止まりですね」
「彼等が戦っているのだ。我々が遅れを取ってどうする」
そうした話にもなった。
「だからだ。戦うぞ」
「はい、それでは」
「何としても」
こう話してだった。彼等も戦うのだった。
英国の戦いはイギリス軍だけが戦っていた訳ではなかった。他の国の騎士達も戦っていたのだ。例え祖国が降伏しても戦いそうして最後は勝利を手にした。これは歴史にある通りである。
騎士道衰えず 完
2011・4・28
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