第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
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言われて起こしに来たのだとか。もしも“悪心影”の権能が無ければ、確かに始末書を書いている頃だろう。落着させた昨日の一件、涙子の件で。
だからと言って、今まで風紀委員で寝起きまで管理された事はなかったのだが。そんな事を考えながら、肩を怒らしてツインテールを揺らす六つ年下の常盤台の制服姿と、紅く染め抜かれた彼岸花の柄の黒い和服姿を見ていた。
「あ、嚆矢先輩。おはようございます」
「あ、どもっす、対馬さん」
「おはよう、飾利ちゃんに涙子ちゃん……ッ、ま、真逆ソレは……!」
そこにもう二人、中学生。共に柵川のセーラー服の飾利と涙子がリビングで、朝食の用意をしていた。まぁ、ただのシリアルだが。
それを見た瞬間、嚆矢は膝から崩れ落ちると五体倒地の勢いで平伏した。
「神様仏様飾利様涙子様……今日も糧を有り難う御座います」
「ええぇ?! そんな大袈裟ですよぅ! シリアルにミルクを注いだだけですし」
「手間暇とかじゃないんだよ、女の子に朝御飯を用意して貰えるとか……もうね、感涙の余り……ぐうっ、生きてて良かった」
「ええー……」
「随分と安上がりな人生ですわね……」
苦笑いする飾利と涙子、溜め息を吐いた黒子。思ったのは、涙子の事。一昨日と昨日、二度に渡り『魔術』に巻き込まれた彼女。
一昨日はルーンで記憶を消し、昨日は気絶していた事を幸いに『遊びに連れ出した』と偽の記憶を植え付けた。先ず、失敗はしていない筈だ。
「う〜む、乾飯にも似ておるが甘いのう……うむ、正に醍醐味よな、呵呵呵呵!」
『てけり・り。てけり・り』
「あはは、市媛さんの古風ジョークは今日もキレッキレだね、初春?」
「お代わりもありますから、どうぞ一杯食べてくださいね」
「お代わりなんてしてる暇はありませんの。早く食べて、早く出発しませんと」
我関せずとさっさと朝食を食む市媛、その脇でペット皿から猫缶を貪る……一メートルを越す、刃金の螻蛄。鎧を次回の装甲として取り込んだショゴスである。
明らかな異形、明らかな異物。しかし、“第六天魔王”の半身“|第六元魔王”と化したショゴスには、同じ権能が宿っている。故に、不審は抱かれない。
「聞いてますの、嚆矢先輩!」
「はっ、はい……直ぐに食いまする」
「あ、わたし補修があるからお先に失礼します」
その証明に、別段ショゴスを不思議がる様子もない女子中学生三人。寧ろ、放心していた此方が怒られて。
「対馬さん、対馬さん」
「ん、なんだい、涙子ちゃん?」
つんつんと突つかれ、鞄を手に立ち上がっていた涙子の方に向き直る。彼女は、クスリと笑いながら髪を掻き上げ……左の耳許に唇を寄せて、艶っぽく囁く。
「世の中って、不思議な
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