第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
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呪詛に。惨めに歪んだ表情で咆哮しながら肉体を再生、口の中に仕込まれていた真新しいメモ帳……“グラーキ黙示録”の写本から取り出したグラーキの棘を振るう──────!!
「────“劫簸”」
その一言と共に、押し込まれた銀時計の釦。刹那、宇宙が収斂するように歪み─────
「……全て。形有る物は、やがて滅びる。永遠なる物など何処にも無く。刻は等しく、遍くを差別しない」
コツリ、コツリと機械のように規則正しく。革靴を鳴らして、少年は歩く。まるで、数億年が経過したように風化した地下貯水施設の中を。
『一億年先まで現役で通用する』とされた、当時の学園都市の最新技術で作られていた柱の幾つかは崩れ落ち、最早崩壊は目前。
そして目と鼻の先、彫像のように棘を持ったままの“悪逆涜神”は────ボロリと崩れ落ちると、堆く積もる塵と化した。その『頭』に当たる部分から覗く、紙らしきもの。先程までは真新しいメモ帳だった筈の、“グラーキ黙示録”の写本。黄変し、経年劣化したその外観。曲がりなりにも『魔導書が』だ。
「対馬嚆矢……彼は、良くやっている。我らが総帥と元帥の帰還も、そう先ではない」
『はい、閣下。全ては閣下の思し召しのまま、“女王”も“女帝”も貴方様の為に』
「実に、実に。待ち遠しいものだ。ああ、現在時刻を記録した。後は、君の選択次第……次の邂逅は、君に何をもたらすかな」
それを────踏み砕いて。少年は歩き去る。遜り、褒め称す娘を連れて。機械のように正確に、笑顔を見せて。全く同時に崩壊を始めた地下施設から、時間に溶け込むように消え去った……。
………………
…………
……
芳しい香りがする。遠く寄せては返す、潮騒が聞こえる。白いロトスの花と赤いカロメテの鏤められた、神の恩寵たる海岸線。
「…………」
流石に、三度目だ。慣れたとまでは言わないが見慣れた風景。しかし、未だに涙が零れそうになるくらいに美しい。
まるで、そう────ここから生まれ落ちたのではないかと思うほどに。
砂浜には、幾つかの足跡。千鳥が渚で遊び回っているように、可愛らしい足跡が続いている。後を追ってこいとでも言っているかのように。
ふと思ったそんな事を、実践する。小振りな足跡に導かれるように、打ち上げられた瑠璃色の海を後に。宇宙を舞うように、星屑の砂浜を更々と歩く。
そう歩かずとも、それは見付かる。遊び疲れたのか、柔らかな下草の生えた草の褥に抱かれるように眠る二人の
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