第一章
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かも数がです」
「数が足りません」
こう話していく部下達だった。首相の席に座るチャーチルもその彼の前に立つ彼等もだ。その顔は晴れない。実に暗いものである。
そうしてだ。彼等は話していくのだった。
「パイロットの数も航空機の数もです」
「特に戦闘機がです」
「足りていません」
「深刻な状況です」
「その通りだ。今のイギリスに満足に足りているものは何もない」
そのことはだ。チャーチルが最もよくわかっていた。
「私が今吸っているこの葉巻もだ」
「はい、何とかいった感じで、ですから」
「調達できています」
「空にはルフトパッフェがいて」
まずは彼等だった。今のイギリスの最大の敵だ。
「そして海は潜水艦だ」
「忌々しいことにです」
「先の戦争と同じやり方で苦しめられています」
「しかもあの時以上に」
「救いはない」
チャーチルはまた言った。今度は一言だった。
「今の我々にはだ。そんなものはだ」
「あるのは敵だけですね」
「しかも手強い」
「その彼等だけですね」
「そういうことだ。戦うしかないのだ」
チャーチルの言葉は変わらない。しかしであった。
その彼の席でだ。不意にだ。
席にある電話が鳴ったのだ。金色の金属製の電話である。
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