A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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としていた。その引き金を引くのは間違いなくグレアムだ。
己の意志で決め、己の力で事を進め、そして己の手で決着をつける。どのような結果だったとしても、すべてグレアムが背負うために。
悲しみも、怒りも、懺悔も、すべて、すべてグレアムが持っていく。その覚悟をもって、あの老人はそこに立っている。賭けるものは決して少なくない。己が名誉、己が名声、己が命。すべてを賭けているのだから。だが、それをグレアムは後悔しない。あの小さな小さな少女の犠牲を無駄にしないために。
その集大成の時間が近づいてきていた。
『永遠の眠りを与えよ』
最後の詠唱が終わった。
「第二フェーズ終了っ! 総員っ! 退避っ!!」
そのリーゼロッテの命令に従って一気にその場を離脱する武装隊員。しかし、その捕縛結界がすぐさま離散するようなことはない。少しの間ぐらいなら持つような術式はすでに仕込んである。仮にそれが闇の書によって破られる時間が刹那の時間だったとしても、グレアムたちにとっては問題なかった。
なぜなら、すでに引き金に指はかかっているのだから。
『凍てつけっ!!』
Eternal Coffin―――とデュランダルから発せられた無機質な音が艦橋に響く。
画面の中の変化は一瞬だった。闇の書が捕縛されていた地点を中心としてパキパキという音とともに空間が白に支配される。
―――極大氷結魔法、エターナルコフィン(Eternal Coffin)
広域殲滅魔法ともいえる魔法。空間、時すら凍らせるランクSの魔法である。魔力のリミッターを外したグレアムと氷結魔法に特化したデュランダルから発せられたその魔法は、まさしく極大氷結魔法の名前に劣らない効果を生み出していた。
まず凍ったのは海面だ。次に闇の書がいた空間の空気。それらが凍り始めた瞬間から白い霧のようなものが発生していた。その中心にいるのが闇の書だ。闇の書が捕縛された空間ごとの氷結魔法。それがこの作戦の集大成。もはや分子レベルで動くことを許されなくなったそれは、まさしく封印といって過言ではないだろう。
ほぼ成功を確信している艦橋。だが、それでも相手は闇の書だ。歴代のロストロギアでも最悪と呼ばれるものだ。油断はできない。
誰かのゴクリと唾をのむ音がやけに大きく聞こえた。
今は究極ともいえる氷結魔法の余波により観測機器類も効かない。戦況がわかるのはもう少し時間がかかるだろう。あるいは、霧が晴れるほうが先か。そんなことを考えている間にゆっくりとエターナルコフィンの余波から状況が回復しようとしていた。
「計器類回復しましたっ!!」
「状況はっ!?」
目視で確認するよりも計器の回復のほうが早かったようだ。早鐘を打つ胸を押さえな
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