A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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光の膜を破って出てきたのは、なのはも知っている顔ぶれだった。
一つは翔太。一つははやてという少女。一つは翔太の妹になったという忌々しい金髪の少女だ。皆が皆、操り人形のように無表情でそこに佇んでいた。だが、彼らから発せられるのはヴォルケンリッタ―に、竜たちに勝るとも劣らないほどの魔力だ。
「―――行けっ!!」
それが開戦の合図。
―――魔法少女と守護騎士たちの戦いの火ぶたは再び切って落とされた。
◇ ◇ ◇
ギル・グレアムはアースラの中で目の前の刻一刻と変わる戦況を冷静に見つめていた。
アースラの艦橋に映し出される地球の戦闘状況はまさしく人外魔境だった。ランクAの魔法が縦横無尽に飛び回り、数百という竜たちが群れを無し、Sランクの四人の魔導師がそれを迎え撃つ。遙か古代であれば英雄譚に数えられそうな戦闘ではあるが、それさえも主役たちからしてみれば座興でしかない。
戦闘の中心は、S級ロストロギア闇の書―――その管理人格たる女性と周囲の三人。それを迎え撃つ一人の少女だ。彼らの戦闘―――いや、それを戦闘と呼んでいいものかグレアムには判断がつかなかった。少なくとも、それはグレアムの知っている戦闘ではなかった。長い管理局生活の中でランクの高いロストロギアと相対することもあった。だが、それでもそれらと真正面から立ち向かうなどという愚行は起こさなかった。調査に調査を重ねて、罠にかけ、封印するのが手いっぱいだ。それは、まるで狩りのようだが、その認識は間違いではない。人ではなく、一つの現象。ならば、それらと真正面から対決することは、余計な被害を生むだけだ。
だが、その常識に真正面から喧嘩を売るように闇の書と戦う少女―――今は女性だが―――もまた常識から外れているのだろう。
「臨界予想時間まで、残り五分」
「了解した。武装局員に出撃準備の連絡を臨界予想時間一分前に出撃。封印結界の準備を」
淡々とオペレータが作戦の要ともいえる時間を告げ、それを聞いたクロノの姿をしたリーゼアリアが指令を出す。
なのはを熱狂的に応援する武装隊の待機室とは異なり、艦橋には緊張感が張りつめていた。目の前のスクリーンには彼らの局員として働いてきた中で見てきた中でももっとも激しい戦闘が行われているというのに。いや、だからこそ、というべきだろうか。これからの作戦はその状況に横やりを入れなければならないのだから。
「提督」
今までオペレータに指示を出していたリーゼアリアが振り返る。その瞳に映るのははたしてなにか。これからのグレアムの運命を憐れむものか、あるいは、11年前の仇をようやく打てるという期待だろうか。だが、そのどちらでもグレアムは構わないと思っている。どちらにしても自分がやるべ
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