A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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。それだけは、それだけは、なのはは心の底から拒絶していた。
だから、なのはは諦めない。諦めない限り、希望があるというのなら、希望を引き出せるというのなら、なのはの中から撤退の二文字は存在しなかった。
一進一退の攻防がしばらく続く。なのはの行動をあきらめが悪いとネガティブに見るのか、あるいは希望を捨てないとポジティブに見るかは人に寄るだろう。もっとも、なのはにはそんなことは関係ないのだが。
やがて、不意に何かをあきらめたのだろうか、なのはの何度目かの突撃の後に急に竜たちが背後に引き始めた。代わりに前面に出てきたのは闇の書だ。それを好機と見るほどなのはたちは愚かではない。ヴォルケンリッタ―たちはいささかも油断せずに武器を構えたままなのはのやや後方に控えた。
片やAランク以下の魔法を無力化する次元世界でも最強種を誇る竜を数百と従える闇の書と片や数百年に及び闇の書を守護する騎士として人としては及びつかない技量を会得し、さらにジュエルシードによって無限ともいえる魔力を手にしたヴォルケンリッタ―を従える高町なのは。
彼女たちが数十メートルの距離を置いて向き合う。ともすれば、大将同士の一騎打ちにも見える光景だった。
「問おう。私と対等に戦うものよ。なぜ、私と戦う? そなたにもわかっているだろう? 私と戦ったところでこの流れは止められない。結末は一つだけだ」
その問いはユニゾンデバイスで人と近い感性を持っていながらも、やはりデバイスであるからこそ出た問いなのだろう。リィンフォースには彼女が何のために戦っているのかわからなかった。この先の展開が―――闇の書の暴走による終焉が決まっているのになぜ彼女は逃げないのか、と。
そんなリィンフォースの無神経な質問は、なのはの内の中で沸々と燃えたぎる怒りの炎に油を注いだだけだった。
「なんのため? あなたがそれを言うの?」
まるで他人事のように言うリィンフォースに向けられた怒りは、会われ、彼女の周りに召喚された竜たちへと八つ当たりのごとく砲撃の嵐として振りまかれた。その一撃で堕ちた竜の数、その戦闘の中最大だった。
「決まってる! ショウくんのためだよっ!!」
そう、翔太のためでなければ、なのはが戦う理由などない。唯一の友人である翔太が、助けてというから、彼がリィンフォースにとらわれているから。だから、だから、なのはは戦うのだ。それ以外に、それ以上の理由はなのはにはなかった。
「………そうか」
なのはのAAクラスの砲撃で次々と竜を落としていくのをしり目にリィンフォースは何を思ったのか、重々しく頷く。その頷きに意味など考えられないが。
「ならば、返そう」
その意外ともいえる一言になのはは一瞬だけ耳を貸した。貸してしまった。動き
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