A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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だ。ただそれだけなのだ。だが、そんな簡単なことにもかかわらず老人はどこか衝撃を受けたように驚愕の表情を浮かべていた。
しかしながら、そんなことはなのはには関係のないことだ。上の老人は放っておいて、それよりも翔太のことだ。
そういえば、背後の闇の書が静かだな、と思いながら振り返ってみればすでに拘束が解かれた闇の書が、ただただその場に立っていた。その眼には輝きがない。だが、その一方で彼女が身にまとう魔力は明らかに上昇していた。しかし、動きはない。不思議に思い、なのはがどうしたのだろう? と小首を傾げたところで、動きがあった。
『あ、あの………私の声が聞こえますか?』
発信源は間違いなく目の前のリィンフォースだ。だが、その一方で声はなのはが聞いた声とは違っていた。どこかで聞いたことがある、となのはが記憶の中をあさってみたところ、ごく最近聞いていたことを思い出した。
「八神はやて?」
『え? た、高町さん? お、お願いがあるんや。なんとか、その子を止めてる? 何とかシステムとは切り離したんやけどな、その子が表に出とると管理者権限が使えんのや。今、表に出とるんは、防御プログラムだけやから―――』
どうやら今、闇の書が動かないのは中の八神はやてが何かを行った結果らしい。確かに、今の闇の書からは先ほどのような意志は感じられない。かろうじて立っているが、それだけだ。
しかし、止めろ、と言われてもどうやって止めていいものか、なのはには皆目見当もつかない。そもそも、それが翔太の救出につながるかもわからないのに。
―――高町さん、聞こえますか?
さて、どうしたものか? と悩んでいるなのはのもとに魔法による通信が入った。今まで何も干渉してこなかったのに? と困惑しながらもなのはは、その声の主―――ユーノに耳を傾ける。
―――彼女が言っていることが本当だとすれば、止める方法があります。防御プログラムだけが表に出ている今なら魔力ダメージだけを与えてください。それで防御プログラムはとまるはずですっ!!
なるほど、となのはは思った。言いたいことはわかった。だが、それは翔太の救出につながるのだろうか?
『Master,he is right. Master helped Shota in this way』
なのはの疑念を読み取ったのかレイジングハートが答える。相棒が言うのだから間違いないだろう。何より、今までレイジングハートは間違えることはなかった。それは今回も同じだろう。つまり、今からやるべきことは最初からレイジングハートとともにやろうとしていたことと何ら変わりないのだと。
「いくよ、レイジングハート」
『All right』
愛機からの返答は簡潔なものだった。そん
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