A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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のはの胸に宿ったのは、どうしようもない不快感だった。同じような何かかから同じような口調で名前を呼ばれる。その時の感情は昏く、筆舌にしがたい嫌悪だった。だから、二度目の名前を発しようとしたそれを問答無用でぶっとばしてしまった。
よくよく考えてみれば、それは翔太とは似ても似つかないものだった。姿だけならば、似せられたかもしれない。しかし、存在そのものは似せられなかったということなのだろう。それは写真に写るだけならば、なのはを騙せたかもしれない。しかし、喋ってはダメだ。動いてはダメだ。魔法を使ってはダメだ。呼吸をしてはダメだ。それらの動作すべてが翔太とは異なるのだから。
なのはは許せなかった。それは贋物の翔太でなのはを騙そうとしたことではない。その程度の贋物でなのはを騙そうとしたことだ。
その程度の贋物しか用意できなかったのか、あるいはその程度で十分だと思ったのか、どちらかはなのはにはわからない。だが、騙せると思ったのであれば、それは見くびりすぎている。軽く見すぎている。なのはの翔太への想いはその程度で騙せるほど軽いものではないのだから。
なのはは、今、胸を焦がしている怒りを鎮めるために闇の書の近づこうとしていたが、竜たちが邪魔をしてきてなかなか近づけなかった。相手もなのはを近づければ危険であることがわかっているのだろう。執拗ともいえる妨害だった。
闇の書が召喚した竜たちとは異なる騎士たちは、闇の書の守護騎士たちをぶつけている。毒を以て毒を制すではないが、良い案だった。実際、彼らは互角の勝負をしている。
そうこうしているうちに戦況に変化があることになのはは気付いた。気付けば、闇の書の周囲を武装隊が囲んでいる。今更、何のつもりだろう? となのはは思ったが、その解答は自らの愛機から示された。
『Master! They will seal by freezing magic with Shota』
「っ!?」
彼らが何をやろうとなのはには関係ないことだ。彼らが闇の書を倒そうとも、周囲の竜たちを駆逐しようとも、それはなのはの手間が省けるだけの些末なことだった。そう、翔太が関係しなければ。だが、彼らはどうやら触れてはいけない領域に手を入れようとしているようだった。
「――――止めるよ」
『Yes, My Master』
翔太が関係しているならば、なのはは全力でそれを阻止する。たとえ、相手が時空管理局であろうともだ。翔太に勝るものはなのはの中にはなかった。愛機であるレイジングハートもそんな彼女の意志を受けて打てば響くように返事をする。
『JS System start From I to XV』
ジュエルシードを使ったシステムを起動させる。今回は使えるジュエルシードをすべて
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