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リリカルってなんですか?
A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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がらリーゼロッテは急かすようにオペレータに状況を確認する。作戦の直前まで冷静だったクロノ(リーゼロッテ)の声が急かしていることが意外だったのか、オペレータは急いで計器の数値を確認する。

「は、はいっ! エターナルコフィンの魔力余波を除外、闇の書の魔力反応―――っ!?」

 驚いたようなオペレータの気配が感じられ艦橋がざわつく。リーゼロッテも、まさか………、と一抹の不安に襲われながら次のオペレータの言葉を待った。やがて、意を決したようにオペレータが次の言葉を発する。

「闇の書の魔力反応健在。エターナルコフィンによる封印術式―――存在せず」

「バカなっ!?」

 失敗―――その二文字がリーゼロッテの脳裏をかすめる。

 だが、だが、なぜだ。直前までは成功だった。間違いなく作戦は成功だと思った。グレアムの魔力が足りなかったとは思えない。ならば、その他に原因があるとでもいうのだろうか? だが、だが、リーゼロッテには思いつかない。ただただ、胸の中にあるのは焦りだけだった。その焦りは艦橋にも、前線にも伝搬しつつあった。

『バカな、と驚くよりも先にやることがあるんじゃないのか?』

 なぜ、なぜ? と理由を探していたリーゼロッテの思考に割り込むように艦橋に響いてきたのは呆けているリーゼロッテをいさめる声。であると同時に聞こえるはずのない声だった。艦橋も更なる混乱に陥っていた。なぜなら、艦橋に響いてきたのは、彼らの目前で指揮を執っているはずのクロノ・ハラオウンと同じ声だったのだから。

 まさか―――と、思い、後方の艦橋の入り口に目を向けてみれば、ちょうど出入口の自動ドアが開く瞬間だった。

 開いたドアの向こう側にいたのは二人の少年。バリアジャケットに身を包んだ本来はここにいるはずの人間―――クロノ・ハラオウンと彼の協力者であるユーノ・スクライアだった。

「ギル・グレアム提督、リーゼロッテ、リーゼアリア。君たちは時空管理局の指揮権を著しく犯している。大人しく投降してもらおうか」

 突きつけられたS2Uには刃向う気力をリーゼロッテは残していなかった。



  ◇  ◇  ◇



 高町なのはは、胸の内に存在している怒りの炎を持て余しながら空を駆けていた。

 彼女の胸の中にある怒りの原因は、先ほどのリィンフォースから差し出された翔太の贋物に起因するものである。

 最初、翔太の姿を視界に収めた時はうれしかった。ようやく、翔太が自分の元に返ってくる、そう思えたから。だが、それも本当に一瞬の間だけだ。すぐさまその歓喜は絶望へと染まる。贋物の翔太がなのはの名前を口にした瞬間から。

 仮に翔太が本物ならば、名前を呼ばれただけでなのはの心は温かくなったはずだ。だが、それに名前を呼ばれた時、な
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