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リリカルってなんですか?
A's編
第三十二話 裏 後 (クロノ、リィンフォース、グレアム、リーゼロッテ、なのは)
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かったようです。

 クロノが想像した最悪とはつまり、自身がこの作戦から外されてしまうことだ。しかし、グレアムが考えていたのは、自らの後継者としての役割。つまり、この作戦の完了をもって最大の功績をもってして完了する。つまり、彼はクロノをこの作戦から外すことはできない。

 そして、それがギル・グレアムの限界だとしたら、この勝負はクロノの勝利だった。

「クロノさん、大丈夫ですか?」

 開いた扉から飛び込んできたのは、蜂蜜色のショートカットの髪を持つともすれば、少女とも見間違えかねないクロノの助力者である少年―――ユーノ・スクライア。そして、その少年の少し後ろにはセミロングともいうべき亜麻色の髪を持った少女だった。彼らがクロノにとっては、切り札の一つだった。

「まあ、身動きはできないが、なんとか無事だ」

 余裕を見せるように肩をすくめ、苦笑しながら心配そうに飛び込んできたユーノに応える。

 クロノはあらかじめ、彼らに自分の位置を示すマーカーを渡しており、それがこの日のこの時間になっても時空管理局内部にあった際に救助を頼んでいたのだ。エイミィに頼まなかったのか、彼女の場合、グレアムたちに見破られる可能性がないとはいえなかったからだ。その点、まだ関わりが少ないユーノ―――その付添である彼女であるならば、可能性はゼロに近いと言えるだろう。

 クロノにかけられた拘束をユーノの手を借りて解いてもらう。もともと知っていたことではあるが、ユーノという少年は無限書庫の検索のほかにも結界やバインドといった補助系の魔法に造詣が深い。だから、クロノ一人では解けない拘束もユーノと協力すれば、十分に解くことができるのだ。

 数時間ぶりに自由になった身体をほぐしながらクロノは、ユーノに問いかける。

「ところで、例のものは―――」

 そう、クロノが自由になるだけでは不十分なのだ。この作戦を実行するためにはもう一つのピースが必要となっていた。それが見つからない以上は、意味がなかった。

 そして、ユーノはクロノからの問いに答えるようにクロノの目を見ながら強く頷いた。

「本当に驚きましたよ。無限書庫―――ありとあらゆる書物を収集した無限の書庫というのは伊達じゃないみたいですね。どうにか見つけることができましたよ。古代ベルカ時代、まだ闇の書が夜天の書だったころの設計図を」

 本当に、どこかの遺跡よりも攻略が難しかったです、と愚痴の様に零すユーノ。無理もない。無限書庫というのは一切、整理がされていない図書館だ。せいぜい、年代順に並んでいることぐらいだろうか。しかし、それはまるで床から本を積み上げてきたようないびつさだ。その中からたった一つの目的のものを探し出す。それが如何に困難なことか、クロノには想像することしかできない。
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