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花に散り雪に散り
第二章
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第二章

「そして敗れた後の皇国も護ろう」
「わかった。では俺もだ」
「貴様もか」
「俺もそうする」
 純名もまただ。特攻隊に入るというのだった。決意の顔で。
「貴様一人だけ靖国の英霊にさせてたまるか」
「それでいいのだな」
「漢に二言はない」
 微笑みだった。純名は社に答えた。
「違うか」
「そうだな。それではな」
「行くぞ」
 純名からだ。社に告げた。
「皇国を永遠に護る為に」
「その為にな」
「喜んでそうなろう」
 護国の鬼になる。そうなると誓い合ったのだった。
 雪は降り続ける。それは空襲により荒れ果てようとしている帝都を今は清めていた。それが冬のことだった。
 そして春になってだった。彼等はまた靖国に来ていた。今靖国は満開の桜が咲き誇っている。
 だが東京はアメリカ軍の空襲で焼け野原になっていた。その中で彼等は今この社の中にいた。
 満開の桜達が咲き誇り花吹雪が舞う。社はその中で純名に話した。
「決まったな」
「そうだな。遂にな」
「俺は鹿屋に行く」
「俺もだ」
 二人共だ。その基地に行ってだというのだ。
「そしてそのうえでだ」
「いよいよだな」
「見せてやろう」
 笑ってさえいた。二人共。
「俺達の心をな」
「そうだな。鬼の心を」
 二人は既に護国の鬼になっていた。その心でだ。
 靖国を後にし戦場に赴こうとする。社に敬礼しそのうえで踵を返した彼等をだ。
 もんぺ姿の女子学生達が見た。二人も彼女達に気付いてだ。
 微笑みその上でだ。彼女達にも敬礼をしてみせた。女子学生達はその彼等に声をかけた。
「あの」
「宜しいでしょうか」
「何か」
「日本は生き残りますよね」
 東京大空襲から暫く経ってのことだ。最早不安で仕方がなかったのだ。
 それでだ。二人にこう尋ねたのである。軍人である彼等に。
「お国も陛下も」
「大丈夫ですね」
「安心して下さい」
 二人はだ。その不安な心境の彼女達にだ。微笑んで答えた。
 そうしてだ。穏やかにこう話したのである。
「私達が護ります」
「例え鬼になろうとも」
「鬼にですか」
「それになられても」
「はい」
「そうしてでもです」
 微笑んでいるがだ。それでも言葉は強かった。
 澄んだ微笑みで澄んだ強さでだ。彼等は女子学生達に話したのである。
「我々はお国も陛下も御護りします」
「そして貴女達も」
 こう言ったのである。二人で。
「ですから御安心下さい」
「これからも確かに生きて下さい」
「わかりました」
 その言葉を受けてだ。女子学生達も確かな顔で頷いた。
 その彼女達にだ。二人は靖国の社を振り向きながら答えた。
「私達はこれから鹿屋に向かいます」
「そしてそこで敵に我々の戦いぶりを見せてやり
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